2009年夏CCS特集:シミックス・テクノロジーズ・ジャパン
電子実験ノート普及に全力、高度なシステム統合を実現
2009.06.24−シミックス・テクノロジーズ・ジャパンは、化学情報管理の基盤技術と業務アプリケーション、豊富なデータベース、また最先端の自動化技術を用いた委託研究事業を中心とするCCS分野の最大手ベンダー。昨年末に事業体制が再編され、ソフトウエアを中心とする「Symyx Software」、ユニークなハイスループット実験技術を生かした「Symyx HPR」(ハイプロダクティビティーリサーチ)の両輪で、あらためて事業戦略を強化している。
国内においては、今年は電子実験ノートブック「Symyx Notebook」の普及に全力をあげる。統合化されたプラットホームのもとで、合成部門、プロセス化学、分析部門、製剤部門、生物部門など、各部署の異なる研究業務プロセスに対応できるを柔軟性を備えていることが特徴。情報基盤製品の「Symyx Isentris」をベースにすることにより、化合物情報管理、試薬管理、実験データ管理などのアプリケーションと高度なシステム統合を実現することができる。
メディシナルケミスト向けの大幅な機能強化を実現した最新版Symyx Notebook 6.2の日本語版がこの3月末にリリースとなり、すでにいくつかのユーザーがインストールをして評価を実施中。日本の製薬企業もグローバル化を推進しており、欧米に研究拠点を持つところも増えている。電子ノートもマルチナショナルで導入・運用する必要が出てくるため、その意味でもシミックスのグローバルなサポート力が注目されているようだ。
研究者は、過去の実験データを探すために業務時間の3割を消費しているという調査もあり、実験ノートを電子化することの業務改善効果やコスト削減効果は大きい。国内でも、Symyx Notebookの導入に合わせて完全電子化を検討するユーザーが増えてきているという。
一方、基盤製品のIsentrisへの移行については、キャンペーン活動などを通して評価しやすい環境を用意するとともに、移行の価値を具体的に示すことにも力を入れたい考え。デスクトップで利用できるIsentrisパーソナルエディションも5月にリリースされたため、これも合わせてキャンペーンで普及を促進していく。
そのほかでは、新データベースとして「SPRESI」(独インフォケム製品)が提供される。もともとはロシアで開発されたデータベースで、文献や特許からの600万の構造情報、380万の反応情報、2,800万のファクトデータが収録されている。
さらに、化合物に関する総合的な情報にシームレスにアクセスできるオンラインサービス「Discovery Gate」は、このほどウェブサービス版が提供開始された。プラットホームに依存しないので、ユーザーの社内システムから直接サービスに接続し、検索結果を取得することが可能。常に最新の情報を参照できるメリットがある。