化学分野で中国特許の発行件数が世界一に−米CAS発表
この10年間で1,400%の伸び、英語で中国特許の調査が可能
2009.12.26−世界最大の科学技術情報データベースサービスを提供する米ケミカルアブストラクツサービス(CAS)は、化学分野における中国特許の発行件数が、今年世界一になることが確実になったと発表した。中国は、2005年に米国特許商標局(USPTO)、2006年に世界知的所有権機関(WIPO)を抜き、2008年には日本の特許庁を月間ベースで上回っていた。そして、2009年は年間ベースで化学特許の発行件数が世界一となるが、CASではこの傾向はさらに続くと予測している。
CASによると、化学特許は薬品および天然物を含むさまざまな産業プロセスおよび科学分野で重要な要素で、新規特許出願の35%は化学物質にかかわっているという。とくに、CASデータベースにおける特許文献の収録数は目覚ましい伸びをみせており、USPTOおよびWIPOによる化学関連特許発行件数はこの10年間で500%以上拡大した。ところが、中国の特許発行件数は同じ期間に1,400%近い伸び。大部分が医薬品の分野に集中している。
CASは、通常の検索エンジンでは拾い出せない特許中に埋もれた化学情報を特定するための独自の技術を持ち、世界60の特許機関からの情報を処理。これには数百人の科学者グループが携わっており、世界の主要な9つの特許機関からの文献は、発行から2日以内にデータベースに収録(27日以内に索引化)されているという。
データベースには、化学物質名、CAS登録番号、論文、物性データ、市販の有無、合成法の詳細、スペクトルおよび規制情報なども加えられており、付加価値が高い。また、中国語で特許を調べるのは困難だが、CASデータベースは各国特許がすべて英語化されているので調べやすいというメリットがある。