2009年冬CCS特集:化学情報協会

検索サービス・ウェブ版への移行促進、コラボレーション機能搭載

 2009.12.03−化学情報協会は、米ケミカルアブストラクツサービス(CAS)のオンライン検索サービス「SciFinder」のウェブ版への移行・普及を促進させる。従来のようにパソコンに検索ソフトをインストールする必要がなく、管理面のメリットが大きいが、研究者間のコラボレーションといったユニークな新機能も追加され、ウェブ版独特の魅力もふくらんできている。

 SciFinderは、物質・反応・文献・特許を網羅したCASデータベースにアクセスするためのサービスで、現在はすべての契約者が新しいウェブ版を利用することができる。直近では9月と11月にバージョンアップが行われるなど、ユーザーの要望を迅速に取り入れてサービス内容を強化してきている。

 とくに、新しいコラボレーション機能により、研究者同士の情報共有を図ることが可能。文献の呼び出しや分類を簡単に行うためのタグ(漢字にも対応)をつけ、特定のユーザーをそのタグを共有するグループに招くことができる。社内や学内のユーザー間だけに限られるが、文献に対するコメントを書き込んだり、それに返答したりといった言葉のやり取りをログとして残すこともできるので、さまざまな使い方ができそうだ。

 また、検索機能では、類似反応検索機能が搭載された。反応検索の回答画面に類似反応のリンクが表示されるので、それをクリックすると、その反応に類似した反応を検索し、類似度をスコアリングしてスコア順に並べてくれる。検索の際には、反応中心からの範囲を選択して類似度レベルを設定できる。さらに、反応検索において、溶媒の種類やタイプを指定できるようになり、実用性が大きく向上している。

 同協会では、プロモーションの一環で“SciFinderマイスター”の募集も始めている。ユニークな検索例を送ると、マイスターの称号とともにトロフィーなどが授与される。参加賞もある。検索の腕試しに奮って応募してほしいという。