エルゼビアのScopusを利用してJSTが投資効果を定量分析
論文と特許のリンケージ手法によって測定、カスタムデータ利用
2010.02.02−エルゼビアは、このほど書誌・引用文献データベース「Scopus」のカスタムデータが科学技術振興機構(JST)に採用され、科学技術のイノベーション創出における投資効果の測定に威力を発揮したと発表した。学術論文と特許とのリンケージによって効果を定量的に分析したもの。昨年11月に内閣府行政刷新会議ワーキンググループによって行われた「事業仕分け」など、科学技術予算の投資効果が問われているなか、今回の方法による定量的測定は注目を広く集めると考えられるという。
今回、JSTは独自開発した論文・特許統合検索システムからScopusのカスタムデータを利用し、特許の引用情報に含まれる論文データを定量的に分析した。この結果、日本の科学論文と技術の関連性が年々増加し、高い国際競争力を維持していること、またJSTが支援した研究者の論文が技術に与える影響も年ごとに大きくなっていることが明らかになった。これにより、JSTが運用する基金がイノベーション創出を推進する政策的役割を果たしていることを定量的に明示できたという。
Scopusのデータを採用した理由としては、引用文献情報を有していること、データ量が多い(網羅性が高い)こと、著者と所属機関の対応関係が明確なこと、などがあげられている。
Scopusは、学術ナビゲーションサービスとして利用される世界最大級の書誌・引用文献データベースで、世界の5,000以上の出版社から出版される1万8,000以上の科学・技術・医学・社会科学の文献を網羅。研究活動のビジュアル化や追跡・分析のためのツールを備えている。情報は毎日更新されており、通常はインターネット経由でサービスを利用することができる。
カスタムデータは、Scopusに蓄積された情報を期間や研究分野、地理的条件など顧客の要望に応じて切り出したもので、XML形式で提供されるデータとなっている。これを顧客自身のデータベースに取り込んで検索・分析することにより、独自のレポート作成が可能になる。