新会社「MetaMoji」が本格的に始動

研究開発に特化し事業化はパートナーと、5年後に1-2社のIPO目指す

 2010.01.21−新会社MetaMojiが1月14日、事業構想などについて記者説明会を開催した。ジャストシステムの創業者だった浮川和宣・初子夫妻があらためて独立して設立した企業で、ジャストシステムの研究部門にいたスタッフら16人が従業員として参加している。ユニークな技術を自社で育て、外部のパートナーを個々に募ってビジネスを立ち上げるスタイルで具体的な事業化を進めていく。5年後には1−2社のIPOを目指したいとしている。

 MetaMojiの設立は2009年10月30日。資本金は1,000万円で、代表者は浮川和宣社長と浮川初子専務となっている。本社所在地は、東京都港区六本木1-7-27(全特六本木ビル)、電話は03-5114-2525。

 浮川社長は30歳のときにジャストシステムを創業。今回のMetaMojiは60歳での起業となる。「30年間、コンピューター産業に携わってきたが、インターネットや携帯電話を含めて、すさまじい勢いでテクノロジーが発達し、さまざまなサービスが氾濫しているようにみえるかもしれない。ただ、まだまだそれらは一部にすぎず、私には新しいアイデアが湯水のようにわいてくる」と述べる。

 会社設立の目的については、「あとから振り返って、あの時にこれがあって良かったと感謝されるような技術やサービスを実現したい。その結果、より豊かで平和な社会を築くことに貢献できたら喜びであり、そうした“夢”のある事業には人を集める力があると思う」と話す。

 MetaMoji自体は一種のテクノロジーホールディングカンパニーとしての位置づけで、研究開発を主体に行い、将来も未公開企業の立場を保つ。その中で有望な技術は外部からパートナーを募って共同で事業化し、IPOも目指していく。現在、ジャストシステムの社員だった研究員らを受け入れているが、ジャストシステムからは正式に4つの技術(プロジェクト)も譲り受けたという。企業情報の電子化のためのXML技術「XBRL」、知識や情報を体系的に扱うための「基本オントロジー」と「機能オントロジー」、ソフト開発基盤となるミドルウエア技術「PXL」−の4つ。

 具体的な事業化第1弾となる技術のイメージとしては、浮川初子専務が「アプリケーション開発をもっとやさしくしたい。開発しやすくなったといっても、それは専門家にとってのことであって、一般ユーザーは自分がほしいと思ってもそれをつくることはできないし、一般ユーザーが開発者に頼むというのも現実的ではない。一般ユーザー自身が開発に参加できるような環境を実現したい」。

 「とはいえ、一般ユーザーは何がしたいのか最初から明確でないケースも多い。システムとしてできることをいろいろと提示しておけば、それらをつなげてやりたいことが浮かび上がってくるような、ダイナミックな対話性が実現できたらいい」とも。いずれにしても、当面はXML関連の技術が事業化の基盤になるという。

 同社としては今後、多くのアイデアの中から具体的なサービスを決定し、それらの事業化に向けてのアクションを起こしていく。ただ、浮川社長によると、パッケージソフトには将来も手を出さないとともに、対象は個人向けのサービスに絞るということだ。