米エヌビディア:ジェン・スン・フアン社長兼CEO会見
ヘテロジーニアスコンピューティングが台頭、GPU活用へソフト開発者の視点が重要
2010.02.02−米エヌビディアと理化学研究所が1月28日と29日の両日、東京・六本木の国際文化会館で「Accelerated Computing」カンファレンスを共同開催した。今後、スーパーコンピューターの性能向上のペースがスローダウンすることが懸念されているが、その有効な解決策として期待されているのが、GPU(グラフィックプロセッサー)の活用。現時点では期待が先行している感があるものの、本格的な活用を見据えて先端の研究者同士の議論を活性化したいとの目的で会議が行われた。その基調講演に、米エヌビディアのジェン・スン・フアン(Jen-Hsun Huang)社長兼CEOが登壇、またその後に記者会見を開催した。主な発言内容は以下の通り。
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「スーパーコンピューティングの需給ギャップが拡大している。需要が急増しているのに、供給できるリソースは相対的に小さい。とくにデータ量の大きな問題が増えている。例えば生命科学分野では、270万個の原子で構成されるリボソームを対象に、2ナノ秒間のダイナミックシミュレーションの実行に8ヵ月もかかっている。クロマトフォア(色素胞)は5,000万原子、バクテリアになるとさらにその100倍のサイズになる。これらは現実的な時間内に計算が終了しない問題の典型で、バクテリアの場合はエクサFLOPS級のスーパーコンピューターが必要になる」
「これに対して、CPUの性能向上は18ヵ月で2倍というペースであり、扱いたい問題の大きさに比べると緩やかすぎる。GPUは優れた並列計算機であり、CPUにアタッチすることによって計算能力を1,000倍に強化できる。このため、将来のスーパーコンピューターは、CPUとGPUを組み合わせた“ヘテロジーニアスコンピューティング”が主流になると確信している」
「将来的にはCPUとGPUが統合される可能性もある。その方法はワンチップ化、ワンボード化などいろいろと考えられるが、ヘテロジーニアスコンピューティングの普及を目的にするならば、ソフト開発者の視点を無視するわけにいかない。まずはソフト開発のためのボトルネックを1つずつ解消していくことが重要だ。その意味では、第1にGPUをもっとフレンドリーなものにする。次に、GPUとCPUの間のコミュニケーションの問題に着手する。GPUとCPUの統合を考えるのはその後だ」