CCSニュースファイル
   2005年1−3月

  • 日本総合研究所が商用版J-OCTAを完成、3月末に正式発売
     2004.01.12−日本総合研究所は、経済産業省プロジェクトで開発された材料設計支援システムを商用化した「J-OCTA」の開発を完了、3月末から正式に販売・出荷を開始する。本プロジェクト終了後に予約購入者を募り、3年間の商用化プロジェクトとして進めてきたもの。同社では、開発と並行してコンサルティングや受託解析サービスを提供しながら、実際の研究現場におけるニーズや活用方法をノウハウとして蓄積してきた。このため、無償公開されているフリー版「OCTA」と比べて、実戦的なシステムに仕上がっていることが商用版の最大の特徴。使いやすいグラフィック機能や解析ノウハウの共有に役立つシナリオ機能および事例データベースが整っており、化学・素材産業をはじめ、自動車やエレクトロニクス産業からも強い関心が寄せられている。
  • リミックスポイントがバイオ向け画像管理ソリューション、InGaPに採用
     2005.01.21−リミックスポイント(本社・東京都港区、吉川登社長)は、バイオテクノロジー研究における大量の画像データを効率良く管理し、アノテーション情報を付加するなどして、検索および情報共有をウェブベースでスマートに行えるようにする「GalapagosDB」(ガラパゴスDB)を開発、販売を開始した。かずさDNA研究所の公開データベース(DB)サービス「InGaP」向けに開発したシステムをパッケージ化したもので、DBの作成・登録・管理を一貫して行うことができる。とくに利用者の立場から検索しやすくみやすいウェブインターフェースを実現していることが特徴。管理や再利用が難しかった画像を扱うことができるため、製薬などの民間企業の社内システム用にも売り込んでいく。
  • 東京大学の土井正男教授がOCTAのさらなる発展に意欲
     2005.01.26−日本総合研究所は25日、3月から正式発売する材料設計支援システム「J-OCTA」の完成を記念し、東京・千代田区の本社大会議室で「プレリリース報告会」を開催した。冒頭で基調講演を行ったプロジェクトリーダーの東京大学大学院工学系研究科・土井正男教授は「プロジェクトで開発したフリー版のOCTAは、カスタマイズなどの自由度の高さを優先した結果、使いにくい面が残ってしまった。商用版のJ-OCTAでそこを補完してもらえると期待している。フリー版OCTAも解析エンジンの検証や機能強化の点でまだまだ発展の余地があり、とくに実験との連携や他の解析ソフトとの連携をテーマに開発を続けていく」と今後へのさらなる意欲を示した。
  • ヒューリンクスに「ネットサイエンス」を合併・統合、4月めどに実施
     2005.01.27−アルゴグラフィックスと住商エレクトロニクスは26日、科学技術計算用ソフトの販売事業を行っているそれぞれの子会社を統合することで基本合意したと発表した。具体的には、4月をめどにヒューリンクスにネットサイエンスを合併・統合することになる。また、ヒューリンクスが今後予定している増資に際して、住商エレがその一部を引き受け、関係を強化することにしている。
  • ノーザンサイエンスが薬物動態学の学習ソフトを発売、大学から企業まで
     2005.02.02−ノーザンサイエンスコンサルティング(本社・北海道千歳市、村上剛社長)は、米TSRL(本社・ミシガン州、ゴードン・アミドン会長兼CEO)が開発した生物薬剤学学習ソフト「Modern Biopharmaceutics」(モダンバイオファーマシューティクス)の国内販売権を取得し、販売活動を開始した。薬物動態学や製剤学の基礎から応用までを体系立てて学ぶことができ、大学などの教材としてだけでなく、企業内研究者の研修目的でも利用することが可能。ソフト価格は、50ユーザーのネットワークライセンスで18万円。
  • 米シミュレーションズプラス:ウォルトス会長社長兼CEOインタビュー
     2005.02.08−新薬開発において計算機実験による手法が広く普及し、インビボ(生体内)、インビトロ(試験管内)に加えての“インシリコ”(シリコン上、コンピューター上)という言葉もすっかり定着しつつある。そのインシリコ創薬支援システムのルーツ的存在が米シミュレーションズプラス社。薬品を服用する際に生体内で生じるADME(吸収・分布・代謝・排出)をシミュレーションする「GastroPlus」をはじめとするソフトウエアを開発・販売している。同社のウォルター・ウォルトス会長社長兼CEOは、「航空宇宙やエレクトロニクス産業は、シミュレーションしてから物づくりをするが、製薬産業はまずつくってからテストをしている。他産業と同様にシミュレーション技術を利用できるように手助けするのが当社の使命だ」と述べる。
  • ヒューリンクスがケンブリッジソフト製品の最新バージョンをリリース
     2005.02.17−ヒューリンクスは、米ケンブリッジソフトが開発した化学者向け統合ソフトウエアパッケージの最新版「ChemOffice2005」の販売・出荷を開始した。構造式作図のChemDrawなど各種のデスクトップツールから構成されるスイート製品で、各ソフトがそれぞれバージョン9.0に機能強化されているほか、バイオアッセイデータ管理や試薬在庫管理などの新ソフトも追加されている。また今回、教育用のサイトライセンスが新設されたため、同社では大学などへの販売に力を入れることにしている。
  • NTTデータがバイオ分野でグリッド事業化へのベータプロジェクト開始
     2005.02.19−NTTデータは、一般のパソコンユーザーの参加を募るかたちでのグリッドコンピューティング事業化に向けてのベータプロジェクト「セルコンピューティング・バース」を16日からスタートした。慶應義塾大学および東亜合成とそれぞれ共同して、自然免疫系遺伝子領域解明およびヒトゲノム染色体間の法則性解明を目指すバイオ分野の大規模計算を開始したもの。参加方法は、専用のメンバーソフトをダウンロードしてインストールし、参加登録するだけ。参加者への特典として、自分のパソコンがプロジェクトに貢献した計算量に応じて得られるポイントをキャラクターコミュニティ「セルタウン」で利用することができる。
  • インフォコムが加ファーマアルゴリズムの毒性予測ソフトを新発売
     2005.03.04−インフォコムは、加ファーマアルゴリズム社が開発した毒性予測システム「ToxBoxes」の販売を開始した。化合物の二次元構造情報をもとに急性毒性や遺伝毒性などを予測するとともに、入力構造と類似する化合物の文献データとリファレンス値を合わせて表示することができる。新薬候補物質の探索の段階でシミュレーションによってふるい落としをかける“インシリコ創薬”のツールとして役立つ。
  • 富士通が“インテグレーテッド・インシリコ創薬”提案、ADMEWORKS2.0発売
     2005.03.08−富士通は、新薬候補化合物の体内での挙動を予測する「ADMEWORKS」最新版の発売を機に、創薬研究手法を革新する“インテグレーテッド・インシリコ創薬”の提案活動を開始する。候補化合物の探索と化学構造の最適化、薬物動態試験、毒性試験へと通常は逐次的に流れる創薬プロセスを改革し、薬理活性とADME(吸収・分布・代謝・排出)特性、毒性、物性などを同時にシミュレーションで評価することにより、臨床試験に入るまでの期間と費用を大幅に短縮・削減することが可能になる。このために機能強化したADMEWORKS2.0は、3月中旬から月末にかけて正式に提供開始する。
  • FSISナノシミュレーショングループが次世代デバイス開発向け新ソフト公開
     2005.03.12−文部科学省ITプログラム「戦略的基盤ソフトウエアの開発」(FSIS)プロジェクトのナノシミュレーショングループ(グループリーダー=大野隆央 物質・材料研究機構計算材料科学研究センター副センター長)は、開発成果としての新しい解析ソフトウエアを6月に追加公開する。すでに公開中の第一原理擬ポテンシャル電子状態計算ソフト「PHASE&CIAO」に加えて、誘電応答や量子伝導、ナノ構造解析などのシミュレーションを可能にするソフト3種を開発したもの。同グループは、次世代ナノデバイス実現のための材料探索、物性予測、機能設計などを行うための統合システムを「CHASE-3PT」の名称で開発しており、6月には基本的な解析エンジンが出そろうかたちになるという。
  • 富士通がCACheの最新バージョン7を開発、MacOS Xにネイティブ対応
     2005.03.15−富士通は、統合分子モデリングシステム「CAChe」の最新バージョン7を開発、14日から世界同時に発売した。Javaをベースに内部アーキテクチャーを刷新しており、外部プログラムとの連携や機能追加などがモジュラー形式で簡単に行えるようになった。材料科学と生命科学の両分野に適用できる機能を備えていることに加え、とくにマッキントッシュ版でWindows版と同等の機能を実現したことが特徴になる。米国の大学やバイオ産業でマック人気が根強いことから、米国市場に一気に浸透しようとの狙いもある。出荷開始は4月からで、2年間で10億円のパッケージ売り上げを見込んでいる。
  • 東北化学薬品がMedTAKMIを導入してバイオ文献マイニングサービス
     2005.03.31−東北化学薬品(本社・青森県弘前市、東康夫社長)の生命システム情報研究所(岩手県盛岡市)は、日本IBMが開発したバイオインフォマティクス専用テキストマイニングツール「MedTAKMI」を導入し、遺伝子に関する情報を約100万件の学術文献の中から調べるテキストマイニングサービスを6月から新たに開始する。すでに提供中のDNAチップ/マイクロアレイを利用した遺伝子発現解析およびデータマイニングサービスを補完する位置づけのもので、発現した遺伝子群の機能や関係などを掘り起こし、知識を深めることができる。今回の事業に関しては、東北地方の枠を越え、全国展開で事業を推進していく。

 

 

**************<一般ITニュース>***************

 

  • NECコンピュータテクノ:工場見学、“自働化”で生産革新を達成
     2005.01.06−NECコンピュータテクノ(NECT)は、パソコンを除くNECのコンピューター事業の国内唯一の開発および生産拠点として、この6−7年間で徹底した生産革新を実施し、大きな成果をあげている。月産5,000台のIA(インテルアーキテクチャー)サーバーを中心に、メインフレームやスーパーコンピューターまで、多くの製品を製造しているが、気づかされるのはその工程のほとんどが機械化されておらず、人手に頼っているということ。同社の那須賢治社長は「われわれが目指しているのは自動化ではなく“自働化”。知恵を使って品質はもとより、コスト的にも中国に負けない生産を行っていく」と述べる。
  • クレイ・ジャパンが日本市場で再び事業展開を活発化、日本法人拡大へ
     2005.02.23−スーパーコンピューターベンダーのクレイ・ジャパンは、日本市場の再開拓に本格的に乗り出す。今年1月に、新社長としてヒューレット・パッカード(HP)のアジアパシフィックLinux&HPCゼネラルマネジャーを務めた中野守氏を招き、体制を整えた。コストパフォーマンスに優れた新機種「Cray XD1」を主力とし、構造解析や流体解析などの主要アプリケーションの移植が完了する6月に合わせて、営業、マーケティング、サービスなどの人員を増強する。販売チャンネルの拡大も計画しており、今年下半期から積極的に事業拡大を進めていく。
  • ニイウスがBlueGene/L国内1号機を導入、7月から商用サービス開始
     2005.02.28−ニイウス(本社・東京都中央区、末貞郁夫社長)は、IBMが製品化した世界最高速のスーパーコンピューター「BlueGene/L」(ブルージーン)の国内1号機を導入し、電気や水道のように必要な時に必要なだけの計算パワーを供給する“ユーティリティコンピューティング”サービスを7月にも開始する。東京に開設した「グリッド/オートノミックコンピューティングセンター」に設置したブルージーン1号機を25日に初公開し、事業戦略を明らかにしたもの。今後、沖縄の名護と浦添、さらに札幌にセンターを設け、それぞれにブルージーンを追加導入してサービス体制を整える。ブルージーンはもともとたん白質構造解析などの科学技術計算用に開発されたマシンだが、同社ではとくに金融分野などのビジネス需要を狙っていくことにしている。
  • マーズフラッグが新検索エンジンサービスを開始、サイトイメージ一覧表示
     2005.03.10−マーズフラッグ(本社・東京都新宿区、武井信也社長)は9日、検索結果を画像で一覧表示できる新型検索エンジンサービス「MARS FLAG」をインターネット上で提供開始した。入力されたキーワードに関係したサイトをサムネール画像に変換してタイル表示してくれるため、そのサイトのイメージがひと目で把握でき、ネットサーフィンが一段と楽しくなるという。検索連動広告やショッピングサイトとの連携など、収益に結びつけるビジネスモデルを6月から順次展開していく。

 

 


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