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<<2021年第1四半期>>
富士通がAI創薬基盤「SCIQUICK」を発売、製薬企業7社が学習データ
2021.01.27−富士通は、人工知能(AI)創薬基盤「SCIQUICK」(サイクイック)を製品化し、2月2日から新発売する。日本医療研究開発機構(AMED)の創薬支援推進事業「創薬支援インフォマティクスシステム構築」での共同研究成果がベースになっており、化学構造式から薬物動態や毒性を予測することが可能。同種のソフトには海外の製品が多いが、医薬基盤・健康・栄養研究所、理化学研究所、明治薬科大学の協力で開発された最新予測モデルを搭載しているほか、国内の製薬企業7社が提供したデータを反映するなど、日本ならではの製品となっているところに特徴がある。
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コロナ禍でCCSベンダー各社に第2回アンケート、売り上げへの影響小
2020.12.24−CCSnewsでは、4月に続いてCCSベンダー各社にアンケートを実施。コロナ禍における事業の状況を聞いた。25社から回答が得られたが、懸念されていた売り上げへの影響は小さいことが分かった。政府の緊急事態宣言で経済がストップした時期の影響がいくらか残るベンダーもあるが、研究開発のデジタル化や人工知能(AI)/機械学習の導入、いわゆるデジタルトランスフォーメーション(DX)によって、CCS市場自体が拡大していることをうかがわせる結果になった。リモートでの活動もすっかり定着しつつあるが、新規顧客開拓については取り組みが十分にできていないベンダーが多く、来年度以降にじわじわと影響を引きずる可能性もありそうだ。
東工大と産総研のグループが自律的物質探索ロボット、固体分野で初
2020.11.20−東京工業大学 物質理工学院 応用化学系の清水亮太准教授、小林成大学院生、一杉太郎教授らは、産業技術総合研究所の安藤康伸主任研究員(機能材料コンピュテーショナルデザイン研究センター
材料インフォマティクスチーム)らと共同で、機械学習と定常動作を繰り返すロボットを融合した自律的な物質探索システムを開発したと発表した。二酸化チタン薄膜の電気抵抗を最小化するための研究に適用し、従来の約10倍の実験効率向上が確認できたとしている。研究者が実験における単純作業の繰り返しから解放され、創造的な仕事に取り組む時間を増やすことができるなど、研究開発の進め方を変革する成果としても注目される。
長瀬産業がIBMとSaaS型MIサービス「TABRASA」、2つのアプローチ実装
2020.11.19−長瀬産業は18日、米IBMと共同開発した新材料探索プラットフォーム「TABRASA」のサービスを開始すると発表した。IBMの技術をベースに、長瀬産業がマテリアルズ・インフォマティクス(MI)用SaaSとして製品化したもので、高機能素材やバイオケミカルをはじめとしたNAGASEグループの顧客・サプライヤー向けに展開し、研究開発プロセスのDX(デジタルトランスフォーメーション)による課題解決、イノベーション推進を支援していく。
産総研と東大生研のグループが新たな深層学習技術、量子理論組み込み
2020.11.12−産業技術総合研究所 人工知能研究センター 機械学習研究チームの麻生英樹チーム長と椿真史研究員、東京大学生産技術研究所の溝口照康教授の研究グループは11日、密度汎関数理論に基づく深層学習技術を開発し、学習データに含まれない新規物質の物性予測を高精度に行うことを可能にしたと発表した。波動関数や電子密度という量子物理的に最も基本的な情報を利用しているため、材料開発や創薬分野における大規模な有用物質探索に幅広く貢献できると期待される。
日立ハイテクがAI応用の化学研究支援サービス、クラウドにMI基盤
2020.11.11−日立ハイテクソリューションズは10日、化学分野における研究開発プロセスの高度化・効率化ニーズに対応し、付加価値の高い新素材の早期市場投入を支援するソフトウエア「Cmemicals
Infomatics」を発売すると発表した。マテリアルズ・インフォマティクス(MI)を手助けするサービスで、文献などから収集した1億以上の材料データを揃え、人工知能(AI)/機械学習を行うための高速な計算環境をクラウド上に用意している。将来的には、日立製作所が提供している「材料開発ソリューション」との連携も図るという。
富士通研究所が「デジタルアニーラ」に対応した並列探索技術
2020.11.10−富士通研究所は9日、組み合わせ最適化問題を高速に解く「デジタルアニーラ」を利用し、トロント大学と共同でメガビット級の大規模問題に対応できる新たな並列探索技術を開発したと発表した。イジングマシンとして、1メガビット規模の大規模求解システムを実現したのは世界初だという。実社会での実用問題にアプローチできるようになったことで、中分子の新薬開発、全国規模の輸配送計画、都市圏の交通渋滞解消、ニューノーマル時代に適したワークシフト計画など、具体的な大規模組み合わせ最適化問題へのビジネス展開を進めていく。
米SRIが創薬開発自動化プラットフォームを日本市場に提供、AI応用
2020.10.15−米SRI Internationalは13日、人工知能(AI)を組み込んだ創薬開発自動化プラットフォーム「SynFini」(シンフィニ)を日本市場で提供開始すると発表した。米国防高等研究計画局(DARPA)の助成を得て2015年から開発を進めてきたもので、昨年にはAIを応用して高度な自動化システムに発展させたという。主に低分子薬が対象で、パイプラインの加速と拡大を目的としたイノベーションを目指す製薬企業等との提携を図っていく。
富士通とペプチドリームが中分子創薬でデジタルアニーラを活用
2020.10.14−富士通は13日、ペプチドリームと進めてきた共同研究の成果として、「デジタルアニーラ」とHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)を組み合わせ、中分子創薬を加速する技術の確立に成功、新薬の候補化合物となる環状ペプチドの安定構造探索を12時間以内(実験的手法では数カ月から年単位を要する)に高精度で実施することが可能になったと発表した。今後は、さらに探索時間の短縮に挑戦しながら、実際の創薬探索の現場で活用していくという。
統計数理研究所とJSRがMIで共同研究部門、機能化学品探索を効率化
2020.10.02−統計数理研究所とJSRは1日、データ駆動型材料研究を促進するための基盤技術開発を目的とし、10月から共同研究部門「JSR-ISM スマートケミストリーラボ」を設置すると発表した。マテリアルズ・インフォマティクス(MI)を駆使し、機能化学品分野を対象に新規材料開発の飛躍的案効率化を目指すとしている。
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LINCが最終報告会、来年4月から新体制で再始動
2020.09.29−AI創薬の社会実装を目指すライフインテリジェンスコンソーシアム(LINC)は、23日から25日の3日間にわたり、プロジェクトの総括となる全体報告会をオンラインで開催した。2016年11月からスタートした活動はこれで終了。開発成果である約30種類のAIを開示するプラットフォームも完成し、10月15日から会員企業は自由に利用できるようになる。そして、来年4月からはポストLINCとしての活動がスタートする。開発テーマを再選定し、法人化して組織・運営体制も刷新するという。これからの活動も引き続き注目される。
東工大・林准教授らがAI利用しバイオマテリアル設計、生体分子吸着予測
2020.08.27−東京工業大学物質理工学院材料系の林智広准教授らのグループは26日、人工知能(AI)を利用してバイオマテリアル(生体適合材料)を設計する新たな手法を確立したと発表した。この分野は、材料の物性や生体分子との相互作用をシミュレーションすることが難しいとされているが、今回は独自のデータベースの構築と機械学習によって課題を解決したもの。今回は有機薄膜を対象としたが、数年以内に三大バイオマテリアル(高分子、セラミックス、金属)へも応用範囲を広げていく。
ダッソー・システムズがAI創薬ソリューション「GTD」を提供開始
2020.08.26−ダッソー・システムズは、人工知能(AI)創薬ソリューションのリリースを開始した。「ジェネレーティブ・セラピューティック・デザイン」(GTD)の名称で昨年半ばから開発を進めてきたもの。化合物ライブラリーを大量に発生させ、多目的最適化(活性や溶解性、毒性など)を実現する機械学習モデルを通して有望な候補を選定し、いくつかは実際に合成してその知見を機械学習にフィードバックさせる。創薬研究にかかる期間と費用を半減させることができるという。
東工大・関嶋准教授らが新型コロナのファーマコフォアモデリング
2020.08.21−東京工業大学情報理工学院情報工学系の関嶋政和准教授と物質・情報卓越教育院の安尾信明特任講師、筑波大学医学医療系生命医科学域の吉野龍ノ介助教の研究グループは20日、スーパーコンピューターTSUBAME3.0を用いた分子動力学シミュレーションにより、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のメインプロテアーゼ(Mpro)の複製機能阻害に重要なファーマコフォアモデリングに成功したと発表した。実際に、Mproを標的とする医薬品候補α-ケトアミド阻害剤がこのファーマコフォアに適合していることを確認。今回のファーマコフォアモデルが有効とみられることから、研究グループでは今後、シミュレーションや機械学習、生化学実験を組み合わせたスマート創薬手法を駆使し、新型コロナ治療薬候補となる物質の探索を進めていく。
ダッソー・システムズが結合自由エネルギー計算を高速化、MSLD法搭載
2020.08.21−ダッソー・システムズが開発している生命化学向け分子モデリング&シミュレーションシステム「BIOVIA Discovery Studio」(DS)の最新バージョン2020に搭載されたMSLD機能(Multi-Site Lambda Dynamics)が注目を集めている。新薬候補化合物のリードオプティマイゼーションの段階で、構造の変化にともなう結合自由エネルギーを高速に計算することが可能。商用ソフトとして初めて実装したもので、既存の手法よりも2ケタ速く評価できるという。
Elixがアステラス製薬とAI創薬の共同研究、合成可能性の高い構造生成
2020.08.08−ディープラーニング・機械学習に特化した技術を持つElix(本社・東京都千代田区、結城伸哉代表取締役)は6日、人工知能(AI)を活用した活性予測・化合物生成・逆合成解析のためのアルゴリズム開発を目的とし、アステラス製薬と共同研究を開始したと発表した。合成可能性の高い化合物構造の生成や、より効率の良い合成経路探索に重きを置いて研究を進めるという。
早大の研究グループが多彩な材料データを一括学習、40種類以上の物性
2020.7.31−早稲田大学理工学術院の畠山歓講師および小柳津研一教授の研究グループは30日、多様な材料データや異なる物性値を単一の学習モデルに認識・学習させる手法を開発したと発表した。広範な知識を人工知能(AI)に与えることにより、人間のような柔軟な思考力、広い視野を持った判断、予測能力を備えたシステム実現への重要な一歩になるとしている。
東京大学が量子コンピューターの社会実装を目指す協議会、産業界と共同
2020.07.31−東京大学は30日、量子コンピューターの社会実装目指す「量子イノベーションイニシアティブ協議会」(QII協議会)を設立したと発表した。アカデミックサイドの慶應義塾のほか、民間企業9社が設立メンバーとして加わっており、実際に産業界で活用できる量子コンピューター用のアルゴリズム開発、アプリケーション開発に向け、共同研究を進めていく。大学・研究機関、企業の新規メンバー募集も行う。
帝人がMI導入に向けて日立製作所と協創、CPSでデータ利活用
2020.07.25−日立製作所と帝人は20日、新素材や複合化素材の研究開発におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた協創を開始すると発表した。マテリアルズ・インフォマティクス(MI)の本格的な導入を行い、サイバーフィジカルシステム(CPS)などデータ活用のためのシステム基盤を構築する。さらに、ニューノーマル時代のデジタル化の潮流をとらえ、データ駆動型の研究開発の加速に向けた新たな枠組みも検討していくという。
HPCシステムズとQunaSysが量子コンピューター向け量子化学計算で提携
2020.07.22−HPCシステムズ(本社・東京都港区、小野鉄平代表取締役)とQunaSys(本社・東京都文京区、楊天任代表取締役)は20日、量子コンピューターを利用した量子化学計算領域の技術開発について業務提携契約を締結したと発表した。それぞれが保有する技術・産業知見および顧客基盤などを共有し、2022年ごろとみられているこの用途で実用的な量子コンピューターの登場に備える。また、豊田通商の協力のもとで、事業開発にも取り組んでいく。
中外製薬がDX戦略のデジタル基盤にAWSを採用、新薬創出へデータ統合
2020.07.18−アマゾンウェブサービスジャパンは15日、中外製薬が全社データ利活用基盤として整備中の「Chugai Scientific
Infrastructure」(CSI)に、クラウドのアマゾンウェブサービス(AWS)が採用されたと発表した。中外製薬は、デジタルトランスフォーメーション(DX)戦略の一環として、個別化医療の実現やアンメットメディカルニーズ(UMN)への対応を目指し、オープンイノベーション型の研究開発環境を拡充させていく。
理研が「富岳」による新型コロナウイルス治療薬探索、MDで候補発見
2020.07.06−理化学研究所は3日、スーパーコンピューター「富岳」の先行利用(正式な共用開始は2021年度から)で文部科学省と連携して進めている新型コロナウイルス対策研究の一部成果を公表した。これは、京都大学大学院医学研究科の奥野恭史教授らによる「『富岳』による新型コロナウイルスの治療医薬候補同定」プロジェクトで、分子動力学(MD)シミュレーションを利用して既存医薬品データベースから新型コロナウイルスの標的タンパク質に高い親和性を示す治療薬候補を探索した。その結果、計算だけで数十種類の有望な候補を発見できたという。
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無機結晶データベース「ICSD」がAPI機能を提供、MI研究で注目
2020.06.30−独FIZ Karlsruhe(カールスルーエ)が提供している無機結晶構造データベース「ICSD」に、今年2月、API(アプリケーションプログラミングインターフェース)機能が追加され、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)研究で注目を集めている。人工知能(AI)/機械学習を利用した材料研究のための良質なデータ源となるため。通常の契約ではひとつずつデータを取得する必要があったが、APIを使えばスクリプトを書くことで大量のデータを一度にダウンロードすることが可能。国内で取り扱う化学情報協会にも問い合わせが相次いでおり、まずは1ヵ月の無料トライアルでニーズに応えている。
英ドットマティクスが米バイオブライトを買収、実験室のデータ自動化
2020.06.29−英ドットマティクスは25日、実験室のデータ自動化プラットフォームを開発している米バイオブライトを買収したと発表した。実験データを人手によらずドットマティクスのインフォマティクスプラットフォームに送り込み、データの蓄積・管理や分析を自動化することが可能。人工知能(AI)/機械学習のための基盤としても役立つ。“Lab of the Future”(未来の実験室)のコンセプトで、顧客に対し新しい価値の提供を示していく。
富士通九州システムズが「SCIGRESS」最新バージョン3を発売
2020.06.25−富士通九州システムズ(FJQS)は24日、計算化学統合プラットフォーム「SCIGRESS」の最新バージョン3を発売したと発表した。低分子、高分子、結晶、アモルファスなど多岐にわたるモデリング機能を搭載し、分子軌道法(MO)、分子動力学法(MD)、密度汎関数法(DFT)などの計算化学手法を駆使して、新材料・新素材の開発を支援する機能を持つ。今回は、外部プログラムとの連携がさらに強化されて実用性が高まっている。
東大生研・溝口教授らがAIで励起状態スペクトルを予測、計算より数百倍
2020.06.05−東京大学生産技術研究所の溝口照康教授、清原慎大学院生(研究当時)、産業技術総合研究所の椿真史研究員らの研究グループは、人工知能(AI)を利用して物質の励起状態を正確に予測する手法を開発した。時間のかかる理論計算を行うことなく、励起状態の電子構造を知ることができるため、物質の構造解析や環境物質調査、医療診断などに関する研究を加速させると期待される。詳しい研究成果は、3日に英国Nature Publishing Group発行の「npj Computational Materials」誌オンライン版に掲載された。
アフィニティサイエンスが量子化学計算「AQコンサル」サービス開始
2020.06.03−アフィニティサイエンスは2日、量子化学計算を主な対象とした受託研究/コンサルティングサービスを「Affinity Quantum
Chemistry Consulting」(AQコンサル)の名称で開始すると発表した。機能性材料、医薬、農薬、食品などの研究開発における課題の解決を計算科学の側面から実践的に支援する。スポット的な計算受託だけでなく、中長期にわたりコンサルティングを提供するプロジェクト契約にも対応していく。
セールスフォースが武田薬品に「Health Cloud」、パーキンソン病患者向け
2020.05.30−セールスフォース・ドットコムは29日、地域医療課題解決に向けて武田薬品工業と神奈川県が進めている臨床研究に対し、技術提供を行うと発表した。これは、パーキンソン病患者における一気通貫のオンライン診療・服薬指導・処方薬配送の実現を目指すもの。患者情報を包括的に管理・分析できる機能を含む「Salesforce Health Cloud」を武田薬品に提供する。同システムの国内の導入は初めてだという。
横浜市大らのグループが「例外」をみつけるAI、光吸収特性で実証
2020.05.29−横浜市立大学大学院生命医科学研究科の寺山慧准教授、理化学研究所革新知能総合研究センター分子情報科学チームの隅田真人特別研究員および津田宏治チームリーダー、物質・材料研究機構(NIMS)国際ナノアーキテクトニクス研究拠点の田村亮主任研究員らの共同研究チームは28日、これまで苦手とされてきた「例外」を発見できる人工知能(AI)を開発、実際に例外的な光吸収特性を持つ有機化合物を複数発見することに成功したと発表した。複数の特性を考慮した上で例外的な特性を持つ物質を効率的に探索することが可能なため、かつてない機能を持った材料創製や新たな基礎研究の端緒を開く可能性があるとして注目される。
Axcelaedが共創型アウトソーシングでシュレーディンガーと共同プロモ
2020.05.27−Axcelead Drug Discovery Partners(本社=神奈川県藤沢市、池浦義典社長)は26日、シュレーディンガーと日本国内における創薬支援サービスの提供で共同プロモーションを開始したと発表した。欧米の製薬業で広がっている“共創型アウトソーシング”モデルの適用を目指していくという。
分子機能研究所が新型コロナウイルスの医薬候補化合物、インシリコ創薬
2020.05.09−分子機能研究所(辻一徳代表)は、バーチャルドッキングシミュレーションによるインシリコ創薬を利用して、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に効果が期待できる生物活性化合物を発見し、医薬品候補リストとして公開したと発表した。この研究成果が5月1日にFEBS
Open Bio誌に受理され、オープンアクセスでオンライン出版されたもの。高速な「rDock」と精度の高い「AutoDock Vina」の2種類のプログラムを利用してスクリーニングしており、最終的に64種類と29種類の化合物を選び出してリストにしている。新型コロナウイルス感染症に対するインシリコ創薬を利用した研究で、正規に査読審査を経て受理された初の報告例になるという。あくまでもコンピューターシミュレーションの結果だが、実際にアッセイ試験を行うことで、有望な化合物がみつかる可能性があるとして注目される。
米シミュレーションズプラスが仏Lixoftを買収、医薬品開発モデリング基盤
2020.05.07−米シミュレーションズプラス(SLP)は、4月1日付で仏Lixoftを買収した。薬物動態研究のためのPKPDモデリング&シミュレーション技術を持つベンダーで、SLPの既存製品ラインアップを補完し、とりわけコンサルティングサービスの範囲を拡大することが期待されている。完全子会社となり、Lixoftのブランドは維持される。買収費用は最大1,650万ドルと見積られており、SLPの2021年度売り上げに対して350万ドル以上の増収をもたらすという。
パトコアが新型コロナ支援でオンライン化学教育ツールを無料開放
2020.05.01−マネージメントサービス(MSC)グループのパトコアは、新型コロナウイルス感染症拡大に対する学校教育への支援として、オンライン化学教育ツール「Zosimos」を9月末まで無料で提供している。同社の提携先であるハンガリーのケムアクソン社が開発したSaaS形式のサービスで、海外の大学などでの利用実績はあるが、開発中の製品として国内では紹介していなかった。今回、国内の大学はオンラインでの授業を当面行わなければならない状況になっているため、今後は引き合いがあれば積極的に紹介していくことにしている。
SASがTOYO TIREのMI導入を支援、機械学習/逆問題解析可能に
2020.04.30−SAS Institute Japanは28日、TOYO TIREが研究開発にマテリアルズ・インフォマティクス(MI)を導入することを支援し、データマイニングと機械学習のためのソリューション「SAS Visual Data Mining and Machine Learning」および「SAS Optimization」を提供したと発表した。自動車タイヤ用ゴム材料の開発技術に採用し、保有しているデータを最大限有効活用することで、開発の加速と製品の高性能化を図る。
新型コロナの影響で国内CCSベンダーアンケート、新規顧客開拓に苦慮
2020.04.29−新型コロナウイルス感染症が拡大し、政府が緊急事態宣言を発布している中、CCSnewsではCCSベンダー各社にアンケートを実施、25社から回答を得た。学会での展示やセミナー・ユーザー会などのイベントが開催できなくなった影響、顧客のテレワークへの対応やその影響、業績に及ぼす見通し、新型コロナ対策などについて聞いた。ベンダーによって決算時期に違いがあるものの、今年度はほぼ終わりつつあるタイミングだったため、3月期に区切れば影響は小さいが、顧客訪問や対面ができず営業活動が厳しく制限されているため、2020年度にかなり大きな影響が及ぶことが懸念されている。
AWSがクラウドVPNでシオノギグループのテレワーク実現
2020.04.25−アマゾンウェブサービス(AWS)は23日、新型コロナウイルス感染症が拡大する中で企業が業務を継続するためのリモートワーク支援サービスに関する記者説明会をウェブで開催、その中で同社のクラウドVPN(バーチャルプライベートネットワーク)がシオノギグループのテレワークを実現した事例を紹介した。全社テレワーク初日に判明した問題を解決し、わずか3日間でアマゾンへの切り替えに成功したという。
米ベンダーが新型コロナウイルス研究を支援する取り組み
2020.04.15−新型コロナウイルス感染症の拡大が世界で最も進んでしまっている米国で、主要CCSベンダー各社が、研究グループを支援するなどの取り組みを打ち出している。内容はさまざまだが、現時点の状況をまとめてみた。学術データベースサービスを中心とするケミカルアブストラクツサービス(CAS)、クラリベイト・アナリティクス、エルゼビア、モデリング&シミュレーションを主体とするダッソー・システムズ、シミュレーションズプラス、さらにNVIDIA、アップル、グーグル、マイクロソフト、アマゾンウェブサービス(AWS)の取り組みを紹介する。
インフォコムが免疫レパトア解析支援ソフト、TCR/BCR解析を効率化
2020.04.10−インフォコムは8日、欧米の大手製薬企業向けに遺伝子解析ソフトを提供する米MiLaboratories社(本社・カリフォルニア州、ユーリ・ニコルスキーCEO)と販売代理店契約を締結し、免疫レパトア解析ソフトウエア「MiXCR」(ミクサー)などの製品の販売および受託解析サービスを開始すると発表した。コロナウイルスを含む新型ウイルス感染症の病態解明や治療薬の有効性評価をはじめ、がん、白血病、悪性リンパ腫の診断精度向上への活用が期待されるという。
ダッソー・システムズが材料設計支援「Materials Studio」の最新版
2020.04.04−ダッソー・システムズ(3DS)は、材料設計支援システムの最新版「Materials Studio 2020」(MS2020)をリリースした。電池材料や合金開発をサポートするワークフローや、第一原理計算のための新しい交換相関汎関数の追加、古典力場計算用のイオン液体向け新パラメーターの追加、機能強化した高精度力場COMPASS IIIの搭載などの新しい機能が盛り込まれている。また、国内ユーザーの要望に基づき、日本法人で開発した機能が組み込まれたことも大きな特徴となる。今後も日本のユーザーの声を製品に反映させたいとしている。
Appierが新型コロナウイルス対策でのAI利用の重要性を解説
2020.04.02−AI(人工知能)テクノロジー企業のAppier(エイピア)は3月31日、チーフAIサイエンティストのミン・スン(Min Sun)氏によるプレス向けセミナー「医療、ヘルスケア分野でのAI利用の重要性」をオンラインで開催した。世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症に対して、AIに何ができるかを解説、今後の提言も行った。スン氏によると、予防や診断で有用な機能性が認められるため、積極的にAIを取り入れるべきだと述べた。
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モルシスが「MOE」で抗体医薬品設計分野に力、創薬モダリティ対応
2020.3.20−モルシスは、統合計算化学システム「MOE」で抗体医薬分子設計分野への応用展開を強める。MOE自体は低分子から高分子までどんな創薬研究にも対応できる汎用性を備えているが、最近とくにペプチド、抗体、核酸などの創薬モダリティに対応できる機能が充実してきており、ユーザーからの関心も高まっている。同社は、MOEによる抗体設計にフォーカスしたセミナーなども開催し、機能性をアピールしていく。
文科省プロ「MI2I」が最終報告会、研究成果公開へ4月から新制度
2020.03.18−科学技術振興機構(JST)のイノベーションハブ構築支援事業のもとで、物質・材料研究機構(NIMS)を拠点として実施された「情報統合型物質・材料開発イニシアティブ」(MI2I)は2月19日と20日の2日間にわたり、東京・千代田区の一橋講堂で、3月末にで終了するプロジェクトの締めくくりとなる最終報告会を開催した。初日は250人、2日目は180人が出席し、成果発表に多くの注目が集まった。MI2Iは産業界からの関心が高かったことも特徴で、企業内研究者への教育・育成という面でも大きな実績をもたらした。今回、プロジェクトで開発された成果を基盤に、産業界におけるマテリアルズ・インフォマティクス(MI)研究を支援する「データ駆動材料開発パートナーシップ」の立ち上げが表明されたことも大きな関心を集めた。
ジーンデータが中外製薬にバイオマーカー探索ソフト、臨床研究データ
2020.03.11−バイオ医薬品研究開発のための企業向けソフトウエアを提供するジーンデータ(本社・スイス)は3月10日、次世代バイオマーカーの効率的な識別と検証を行う「Genedata Profiler」を中外製薬に導入したと発表した。臨床研究やトランスレーショナルリサーチから生まれる大量の高次元オミクスデータを処理・分析するためのデータパイプラインに組み込まれて利用される。革新的なバイオマーカーの発見を加速できるという。
筑波大らの研究グループが粉末X線データから電荷移動度を予測
2020.02.21−筑波大学とコンフレックス、豊橋技術科学大学、東京大学の研究グループは17日、化学構造式と粉末X線回折データから単結晶の移動度を簡便に予測する方法を開発し、有機半導体の材料開発を効率化することに成功したと発表した。実際に単結晶を作製して分析する手間を省くことができるため、研究開発の時間とコストが大幅に低減されるという。今回の手法は、有機半導体だけでなく、幅広い分子性材料の機能予測に適用できる汎用性があるため、研究グループでは今後適用例を増やし方法論を改良、さらなる効率化や精度向上を図るとともに、熱電物性や熱伝導など他分野への展開も志向していく。
CTCとQuesTekが合弁で日本法人、材料設計サービスなど提供
2020.02.18−伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は、新規材料の開発や既存材料の特性向上などの高度な技術を擁する米QuesTekインターナショナル(本社・イリノイ州、Aziz Asphahani会長兼CEO)と提携し、材料設計サービスや合金などの材料ライセンス販売を2月10日から開始すると発表した。マルチスケールシミュレーションによって新しい材料開発を行う技術を確立しており、日米の合弁で「QuesTek Japan」を設立し、実際に事業を進めていく。
印CDMOのエンキューブが米タイオガを買収、エンドツーエンドでサービス
2020.01.21−皮膚に使用する医薬品や化粧品を専門とする米国のCROであるタイオガリサーチ(Tioga)は、今年1月1日付でインドに本拠を置くCDMOサービスのグローバルリーダーであるエンキューブ・エチカル(Encube
Ethicals)に買収され、100%子会社として活動していくことになった。グループの一員となることで補完的なスキルと能力が結合され、双方にとって大きな価値を与えることになるという。とくに、皮膚に使用する薬剤の実際の製剤化から量産までエンドツーエンドのサービスを提供できる意義は大きい。
米CASが「SciFinder-n」の逆合成解析に新機能、予測反応を含むルート
2020.01.18−米ケミカルアブストラクツサービス(CAS)は13日、科学者向け情報検索ツール「Scifinder-n」に新しい逆合成機能を追加し、正式に提供開始したと発表した。人工知能(AI)技術と、CASが蓄積した1億2,100万件の反応情報を融合させ、未知で新規な反応ルートを予測できるようになった。新規化合物の合成、反応のスケールアップ、化学合成に関するブレークスルーのチャンスの特定など、研究開発パイプラインの重要なステップを迅速化する効果が期待される。
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<<2020年第4四半期>>
米アスペンテックがAI応用の自己最適化プラント、自動で学習・適応・自律
2020.12.25−プロセス産業向け資産最適化ソフトウエアの大手、米アスペンテクノロジー(アスペンテック)は、生産現場に人工知能(AI)を組み込んで自己最適化プラントを実現する「aspenONE V12」を提供開始した。データを自動的に取り入れて自分で学習し、プラントの運転条件の変化に自動的に適応し、常に最善の目的を達成するための運転を自律的に行うことができる。未来型のオペレーショナルエクセレンスを具現化するソリューションとして、複数の大規模な生産設備を抱える石油・化学業界を中心に売り込んでいく。
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セールスフォースが新型コロナからの業務再始動を支援
2020.07.17−セールスフォース・ドットコムは15日、新型コロナウイルスに対応したニューノーマル時代の業務再始動を支援するソリューション「Work.com」を日本国内で提供開始したと発表した。従業員の健康管理、3密を避けた人員配置、従業員の安全に関する知識取得などの研修実施などを、クラウド上で効率良く実施することができる。自然災害への対応にも役立つ。順次機能を増やしていくほか、パートナーによる関連サービスも組み合わせていく。初めてのユーザーがこのサービスだけを利用することも可能だという。
NECソリューションイノベータがヘルスケア事業会社「フォーネスライフ」
2020.07.10−NECソリューションイノベータは9日、健康寿命の延伸に貢献することを目的に、ヘルスケア事業会社「フォーネスライフ」を全額出資で設立したと発表した。微量の血液からそこに含まれる5,000種類のタンパク質濃度を一度に測定できる技術を持つ米SomaLogic(本社・コロラド州、ロイ・スミスCEO)と協業し、10月からサービスを開始する。NECグループが有する人工知能(AI)、解析技術を組み合わせることで、現在および将来の健康状態や疾患リスクを示すことが可能。生活改善を実施した場合の望ましい結果をシミュレーションすることもでき、自発的な行動変容を促す役にも立てるという。人間ドックなど医療機関向けのサービスで2029年に300億円、民間との共創事業などを含めて1,000億円以上の事業規模に成長させる。
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BlackBerry CylanceがAPT攻撃に関する脅威レポート、攻撃手法巧妙化
2020.05.01−BlackBerryは4月23日、「BlackBerry Cylance 2020年脅威レポート」の日本語版を公開したと発表した。主に、APT(高度で継続的な脅威)攻撃と呼ばれる標的型攻撃を対象に、その攻撃技術と戦術を検証したもの。2019年のトレンドとして、国家の支援を受けた攻撃グループの活動が活発化していること、危険な攻撃ツールが容易に入手できるようになってきていること、自動車業界と小売業界を標的とする攻撃が目立っていることなどを指摘している。2020年の予想としては、クライムウエア、ランサムウエア攻撃が引き続き増加し、企業や政府機関が狙われる傾向が続くこと、国家支援による標的型攻撃がさらに拡大するとみている。
ServiceNow Japanが新型コロナ対策アプリを無償提供、事業継続を支援
2020.04.16−クラウドベースのデジタルワークフローを提供するServiceNow Japanは15日、新型コロナウイルスの感染拡大に対応し、緊急事態下での企業や行政の円滑な事業継続を支援するため、きょう16日から「危機管理支援アプリ日本語版」を無償で提供すると発表した。テレワークが長期化しても、部門や従業員の状況や事態をリアルタイムに把握し、個々の案件に応じて適切に対応することを可能にする。同社のシステムを利用している既存ユーザーは即時に、新規のユーザーも3日間で利用を開始することができるという。
フォーティネットが新型コロナに便乗したサイバー攻撃を報告、新AI製品も
2020.04.01−フォーティネットジャパンは3月26日、オンラインで記者説明会を開催、最新の脅威動向や人工知能(AI)を活用した新製品などについて発表した。合わせて、新型コロナウイルスの感染拡大が広がる中で、それに便乗したサイバー攻撃が行われていることを確認したとして、その概要を説明した。
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デジタル・リアリティが国内データセンターで新サービス
2020.02.14−データセンター事業者の米デジタル・リアリティと、三菱商事との折半出資による日本法人であるMCデジタル・リアリティは12日、北米で昨年末に提供開始したグローバルデータセンタープラットフォーム「PlatformDIGITAL」(プラットフォームデジタル)と新たなコロケーションサービスを3月から国内でもスタートし、その最初の顧客としてエクストリーム−D社が契約し、クラウドベースのHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)を同社のデータセンターから提供していくと発表した。
PwCコンサルティングが3Dプリンティングに関する市場レポート
2020.01.25−PwCコンサルティングの戦略コンサルティングチーム“Strategy&”は22日、3Dプリンティング、Additive Manufacturing(付加造形・積層造形)の成長性に着目した調査レポート「3Dプリンティングの未来:価値創出とビジネスモデル変革の可能性」を作成したと発表した。市場規模は2018年で85億ドルだが、2028年には300億ドルを超えると予想。とくに、航空宇宙、医療、自動車分野における成長率が高く、素材も樹脂に加えて、金属が大きく伸びるという。ただ、グローバルの動向に比べて、日本国内市場の動きは鈍く、このままではデジタル技術をフル活用する欧米との格差がさらに開くと危惧している。レポートの日本語版には、国内向けの提言をまとめた「終章」が付加されている
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