シミュレーションズプラスが新創薬研究プラットホーム「MedChem Studio」

ADMET予測の統合で多次元的分子設計、ClassPharmerを発展的に強化

 2010.08.06−米シミュレーションズプラスは、新しい創薬研究ツール「MedChem Studio」を開発した。大量の化合物データのクラス分類技術をベースにしたデータマイニングツールとして多くのユーザーを持つ「ClassPharmer」を発展的に強化したもので、もともとのデータマイニング機能に加え、薬物動態や毒性予測、新しい分子設計機能を統合したプラットホーム製品として生まれ変わった。新薬の創出が困難になっているなか、活性だけに頼らず、さまざまな分子の特性を多次元的に分析することにより、創薬の確率を高めることができるという。日本国内では、代理店のノーザンサイエンスコンサルティングを通して販売される。

 今回、ClassPharmer 4.7がMedChem Studio 1.0としてリニューアルされた。ClassPharmerは、大量の化合物ライブラリーのスクリーニングデータを共通骨格構造をもとにクラス分類し、さまざまなデータ解析を加えて得た知見をもとにバーチャルスクリーニングを行うためのシステム。バージョンアップを重ねて多機能化が進んできていたが、クラス分類だけではなく、薬物設計に役立つプラットホーム製品としての位置づけを明確にするため、商品名の変更に踏み切った。

 製品体系としては、ClassPharmer時代は基本モジュール、SARモジュール、デザインモジュールに分かれていたが、MedChem Studioになって新しくADMETモジュールが追加されている。高度なクラス分類機能はそのままに、分子構造生成のための最新アルゴリズムの追加、吸収・代謝や毒性などの特性を予測する「ADMETプレディクター5.0」との統合、多次元の情報から重要な洞察を引き出すための新たなデータ視覚化機能を盛り込んだのがMedChem Studioだということになる。

 薬化学者が直感的に扱えるケムインフォマティクスのためのプラットホームであり、データマイニングと分子設計の機能を統合。リード識別と優先順位付け、de novoデザイン、スキャッホールドホッピングとリードオプティマイゼーションなどが行える。

 とくに、最大の特徴はADMETプレディクターとの統合。分子構造を変化させた際の活性の違いを解析するソフトはこれまでにもあったが、MedChem Studioでは多数の分子構造のADMETリスクをスコア付けすることができ、それらを多次元空間で視覚化しながら、望ましい特性のバランス(物理化学的性質、生物医薬特性、代謝、毒性など)を持つ構造を最適化していくことが可能。

 同社では、医薬候補化合物が失敗する理由の多くは、活性だけに目を向け、他の重要な特性を無視していたことが原因だと指摘。その意味で、MedChem Studioは創薬研究の次世代アプローチになりえるとしている。


ニュースファイルのトップに戻る