米エヌビディアが新技術“Maximus”を発表

設計と解析を同時並行処理、2種類のGPUユニットを搭載

 2011.11.16−米エヌビディアは14日、GPU(グラフィックプロセッサー)を利用したプロフェッショナル向けの新技術“NVIDIA Maximus”を発表した。1台のワークステーションに2種類の異なるGPUユニットを搭載することにより、設計業務と解析業務を同時並行的に処理できるようにしたもの。設計者がデザインの傍らにシミュレーションを実行できるため、設計開発業務の大幅なスピードアップが見込まれるという。機械系CAD/CAEなどの主要アプリケーションがすでにこの技術に正式対応していることも、この技術の普及に向けての大きな要素だといえる。

 今回のMaximusテクノロジーは、3Dグラフィックスを中心とした設計用で「Quadro」、シミュレーションに特化したGPUユニットとして「Tesla C2075」を併用し、処理によって使い分けることでエンジニアの作業時間を短縮することを狙ったもの。ソフトウエアの実行中に、グラフィック系のOpenGLやDirectXのプログラム部分は「Quadro」に、数値演算系のCUDAプログラム部分は「Tesla」へと、ドライバーが自動的に処理を振り分けてくれる。

 通常の処理はCPUが担当するので、全体の負荷が効率良く分散され、従来の処理が重なることによる速度低下はほとんど感じられなくなるという。シミュレーション速度で2倍、グラフィック描画速度で9倍の高速化が期待できるとしている。

 Maximus対応の専用ワークステーションは、HPとデル、レノボ、富士通が販売を開始(富士通の国内での販売は来年以降になる予定)しており、対応アプリケーションも順次登場するため、ユーザーはすぐにMaximusテクノロジーを体験することが可能。現在、機械設計分野ではオートデスクの「3ds Max 2012」、バンクスピードの「Bunkspeed PRO 2012」、ダッソーシステムズの「CATIA V6」、CAE分野でアンシスの「ANSYS」、技術計算分野でマットラブの「MATLAB」、デジタルコンテンツ制作でアドビの「Adobe Premiere Pro CS 5.5」が正式に対応している。

 これまでも、設計者が解析まで行う方が効率が良いといわれてきたが、設計用と解析用ではハードウエアに要求されるスペックが異なるため、高価な解析用ワークステーションを設計者に配備することはコスト的に難しかった。また、解析をスタートすると、設計用ソフトの動作が極端に遅くなるという問題もみられたという。

 Maximusテクノロジーはこうしたジレンマを解消できるもので、単純だが効果的な解決策として一気に普及する可能性もある。


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