日本テラデータが製薬業向けビジネス戦略を強化

アウトカム分析などの先進事例で実績、柔軟なデータラボ環境構築

 2013.03.20−日本テラデータは、国内の製薬業向けビジネスを強化する。IT業界でトップクラスのビッグデータ管理・分析技術を駆使し、新薬開発・臨床研究にかかわる多種多様なデータを迅速で的確な経営判断につなげる統合ソリューションを提供する。とくに、欧米のメガファーマでの導入実績をテコに、最近注目されているメディカルアウトカム(医学的転帰=治療後の状態)分析への有効性などを訴えていく。

 同社はデータウェアハウス(DWH)のトップベンダーで、通信・金融・流通業などに強いが、欧米ではヘルスケア/ライフサイエンス分野での実績が拡大。世界の製薬企業上位10社のうちの5社、米国の医療保険会社上位10社のうちの7社が同社のソリューションを導入している。

 これまでの実績では、販売・マーケティング面のデータ分析、M&Aにともなう財務データ統合、生産データ分析、サプライチェーン管理などの適用事例が多かったが、今後注目されるのがアウトカムデータ分析だという。

 これは、アウトカムデータベースに患者ごとの臨床データと支払い請求データを統合し、薬物の経済性や有効性の解析に利用しようというもの。米国食品医薬品局(FDA)と米国研究製薬工業協会(PhRMA)の官民共同プロジェクト“OMOP”(Observational Medical Outcomes Partnership)との関連で採用された例があり、薬物の有効性と安全性上の危惧を別々にではなく結び付けて評価する“ベネフィット・リスク評価”の新手法として注目を集めている。

 この分析にはきわめて大量のデータが関係するため、一例としては症状テーブル9億7,200万行と医薬品テーブル4億3,100万行を読み込む必要がある。実行にも時間がかかり、一般的なリレーショナルデータベースを使用すると、1回の解析に4日間または9日間かかるなどのケースがあるため非常に制約が多いが、それでも重要な分析であれば製薬企業はそれを実行しているのが実態だったという。

 これに対し、テラデータのビッグデータ分析プラットホームを使用すると、実行時間の大幅な短縮が可能。4日かかった臨床データのクエリー処理が4分以下で完了したり、10日近くかかった市場データを使った商圏分析が2時間ほどで終了したりしたなどの事例がある。

 このようなアウトカム分析を通して、十分な治療を受けていない患者グループを特定し、その中から自社の製品に対する反応が良い患者グループを識別。彼らへの処方行為によるメッセージ効果を追跡するなどしてブランド力を高めることが可能。また、マーケット管理の面では、市場へのアクセスを獲得または阻止したり、処方薬物としてのステータスを維持したり、コストの高い分野を識別してリスクに基づく価格設定を行ったりするうえでの判断材料とすることができる。こうして、医薬品の販売期間における利益を最大化することに寄与するという。

 さらに開発段階でも、臨床試験の対象・対象外の基準のデザイン、仮想臨床試験での予測モデルの実施、処方する患者の識別、意図しない用途・適応の識別、薬物の安全性確認、既存薬物の位置づけや目的の変更、疫学傾向の理解などを通し、臨床試験の第2相・第3相で失敗するプロジェクトを減らすことができるとしている。

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 同社の新しい「Teradata Unified Data Architecture」(Teradata UDA)は、臨床データのほかにもオミックスなどの生物学的データ、創薬研究における物理化学データなど、統一されていないさまざまなデータタイプを丸ごと取り込んで適切に管理することが可能。

 一元化されたデータベース(統合リポジトリ―)からテーマに応じてデータを取り出して仮想的なデータラボを形成し、その中で自由な視点でデータ分析を行うことができる。

 そのための新しいハードウエアとして、「Teradata Aster Big Analytics Appliance」および「Teradata Data Warehouse Appliance 2700」なども提供されている。






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<関連リンク>:

日本テラデータ(トップページ)
http://www.teradata-j.com/

日本テラデータ(Teradata UDA 紹介ページ)
http://www.teradata-j.com/product/unified-data-architecture/index.html

日本テラデータ(製薬業導入事例:グラクソスミスクライン)
http://www.teradata-j.com/casestudy/cas_58.html

OMOP(トップページ)
http://omop.fnih.org/


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