CCS特集2013年夏:化学情報協会

信頼性高い結晶DBを提供、無機系など利用者増加

 2013.06.26−化学情報協会は、SciFinderやSTNなどのネットワーク経由で利用できるオンラインサービスを提供する一方、企業などが社内に置いて研究に活用するためのさまざまなデータベース(DB)製品、解析ソフト群を販売している。

 なかでも、高い知名度を誇るのが英ケンブリッジ結晶学データセンター(CCDC)が作成した「ケンブリッジ結晶構造データベース」(CSD)で、世界で最も権威あるDBとして結晶学研究者や分子設計研究者の間で標準的に使われている。

 63万件以上の有機化合物および有機金属化合物の構造情報が登録されており、この信頼性の高いデータを生かして、創薬研究でたん白質とリガンドとのドッキング解析を行う「GOLD」、粉末X線データ解析の「DASH」といったソフトウエアも提供中。同じCCDC製品では、プロテインデータバンク(PDB)の中からたん白質とリガンドの複合体を検索する「Relibase+」の評価も高い。

 一方、独FIZカールスルーエと米国立標準技術研究所(NIST)から提供されているのが、鉱物・セラミックス・金属間化合物などの無機結晶構造データを収録した「ICSD」。16万件以上のデータがあり、利用者数も増加中だという。研究用途はもとより、製造プロセスにおけるトラブル解決に際し、検出された異物(無機物質)を同定する目的などでも利用される。

 また、米NISTなどが製作する質量スペクトルDB「NIST 11」は、最新データで解析したい専門の研究者に人気がある。ガスクロマトグラフィー質量分析(GC/MS)に加え、最近では液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS)系のデータが増えているという。


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