CCS特集2013年夏:シュレーディンガー

材料モデリング領域に進出、創薬向けも機能を強化

 2013.06.26−創薬分子モデリング技術のリーディングプロバイダーであるシュレーディンガーが、新たに材料設計分野に進出した。創薬向けで培ったコアテクノロジーを材料科学分野にも応用したもので、今後はCCSのフル領域をカバーするベンダーとしてさらなる成長が期待される。

 同社は数多くの製品群を展開しているため、このほど製品体系を整理し、ストラクチャーベースドラッグデザイン(SBDD)からリガンドベースドラッグデザイン(LBDD)までの豊富な機能を包含した「低分子ドラッグディスカバリースイート」、たん白質工学や抗体モデリング機能を中心とした「バイオロジクススイート」、さらに新しい「マテリアルズサイエンススイート」の3つに再編した。

 マテリアルズサイエンススイートは、量子化学の「Jaguar」や分子動力学の「Desmond」といった計算エンジン、およびGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)の「Maestro」を材料モデリングに対応させたほか、分子ライブラリー構築・解析などのためのツールを組み合わせたもの。現状では第一弾として触媒設計などに対応できる機能が提供されているが、将来的には電子材料分野などへの適用を目指して順次機能強化が図られる予定。

 材料科学分野のサイエンティフィックアドバイザーに、カリフォルニア工科大学のウィリアム・ゴダード3世教授をあらためて迎えるなど、今後の開発が注目される。

 一方、生命科学系でも今年に入ってほとんどの製品がバージョンアップした。同社の日本法人では、Pythonを使ったカスタマイズや機能追加など、ユーザーの要望に速やかに対応できるサービス体制の構築に力を入れていく。

 リガンド結合部位における溶媒和自由エネルギーを計算する「WaterMap」など大量の計算資源を必要とするプログラムのために、コア数制限のないアンリミテッドライセンスの提供も始めており、ヘビーユーザーからの注目度が高い。


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