パーキンエルマーがタブレット対応化学者向けアプリをシリーズ化

まず構造式作図と分子ビューアー、企業向け製品も開発へ

 2013.07.02−パーキンエルマーは、アップルのタブレット端末やスマートフォンで利用できる化学者向けアプリを提供開始した。まずは化学構造式の作図ツール「ChemDraw for iPad」と分子の三次元ビューアー「Chem3D for iPad」が先行して製品化されており、6月に公開された米国・欧州に続いて、7月上旬から日本向けの App Store でもダウンロードが可能になる。この夏からは、電子実験ノート(ELN)へデータ入力するための企業向け製品「ImageENTRY」も発売する。さらに、化合物データベースの閲覧ソフトなども計画中で、今後の製品展開が注目されている。

 「ChemDraw」は、PC向けの構造式作図ソフトとして代名詞的な存在で、世界中に100万人以上のユーザーを持っているとされる。今回のiPad版は、タッチ操作で複雑な構造が描けるようにデザインされており、少し慣れるだけで誰でも簡単に使いこなすことが可能。画面の右端に構造テンプレートを引き出すアイコンが並び、画面下部には周期律表をワンタッチで呼び出せるなど、使いやすさが工夫されている。

 とくに、「フリック・トゥ・シェア」と呼ばれる機能があり、作図した構造式をフリックすると、任意の研究仲間などにその情報を簡単に送ることができ、アイデアやデータの共有が瞬時に行える。欧米での価格は9.99ドルで、日本では999円で提供される予定。アップルのApp Storeからダウンロードするかたちで入手できる。実際に触って使ってみれば、この価格は安いという印象を多くの人が持つだろう。

 一方、「Chem3D for iPad」は日米ともに無償で配布される。元の「Chem3D」は三次元分子モデリングソフトで、組み立てた分子モデルを各種の計算化学エンジンで解析する機能を持つが、今回のiPad版は分子ビューアーに機能を絞って製品化された。ただ、その表現力は高度で、指で操作して分子モデルをさまざまな角度から観賞することが可能。ボール&スティックやリボン表示などグラフィックス表現は多彩で、モデルを自動的に回転させたり揺らしたりする表示モードもある。

 今回のiPad版ChemDrawもChem3Dも個人向けとなっているが、企業向けのバージョンも開発中だという。一方、最初から企業向けとして開発されているのが「ImageENTRY」で、こちらはiPadでもiPhoneでも利用可能。カメラで撮影した画像をELNに直接登録する機能を持っている。ライブラリーから画像ファイルをアップロードすることも同様に行える。

 実験室内にはPCが持ち込めない場合も多いが、iPhoneで写真撮影してそのまま画像をELNに登録することができれば便利だという。今年の夏に提供開始する予定である。


























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<関連リンク>:

米パーキンエルマー(インフォマティクス事業部トップページ)
http://www.cambridgesoft.com/

米パーキンエルマー(ChemDraw for iPad 製品紹介ページ)
http://www.perkinelmer.com/promotions/chemdraw/index.html


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