CCS特集2013年冬:京都コンステラ・テクノロジーズ

独自手法で化合物絞り込み、探索空間広げる新製品も

 2013.12.05−京都コンステラ・テクノロジーズは、京都大学発ベンチャーとして2008年に設立された企業で、創薬支援のためのソフトウエア開発/受託計算などを手がけている。とくに、同大学薬学研究科の奥野恭史教授が開発した相互作用マシンラーニング法(CGBVS)の独占実施権を与えられていることが強み。最近ではサービスメニューもさらに強化してきている。

 CGBVSは、インシリコスクリーニングのための新手法で、ケミカルゲノミクス情報を用いたパターン認識によって医薬候補化合物を高い確率で予測するもの。あらかじめ受容体たん白質のアミノ酸配列と、それに結合しているリガンド分子の化学構造をコンピューターに機械学習させ、そこから得られた複雑な相互作用パターンを統計的にルール化。それをもとに標的たん白質と候補化合物群との相互作用を見積もる仕組みである。

 この手法をパッケージ化した製品が「CzeekS」。GPCRやキナーゼ、イオンチャンネル、トランスポーターなど各種の予測モデルが用意されているほか、機械学習に社内のデータを使用すれば、自社の系統に合わせた予測システムへとリファインすることも可能。

 また、来年4月をめどに化合物の探索空間を格段に広げる「CzeekD」を製品化する。フラグメントライブラリーの置換で大量に発生させた構造を、群知能最適化アルゴリズム(PSO)を使って効率良く絞り込み、活性スコアの高い構造的特徴を持つ化合物の集合をつくりあげていく。スコア計算にはCzeekSを利用し、CzeekD自体はメディシナルケミストが自ら操作できる使いやすいシステムに仕上げる計画だ。

 一方、創薬とは別系統のパッケージとして、世界の医薬品有害事象データを集積した「CzeekV」も販売中。米食品医薬品局(FDA)の「FAERS」を日本語で検索・表示できる。さらに、国内の「JADER」や自社データの登録も可能とした次期バージョンを来春にリリースする予定。営業面でCRO(医薬品開発受託機関)のメディクロスと協業することになっている。


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