2014年冬CCS特集:シュレーディンガー

GPU高速計算で注目、構築支援などサービス拡充

 2014.12.04−シュレーディンガーは、低分子創薬、生物学、材料科学、研究インフォマティクスからなる4つのスイートのかたちで、最新のサイエンスを搭載したソリューション群を提供。日本法人の陣容も拡大し、計算化学や創薬支援のための専門的なサービスのための体制も整えてきている。

 同社は全体で30種類を超えるパッケージソフトをラインアップしているが、最近注目度が高いのが「FEP+」。自由エネルギー摂動法(FEP)を利用したリード化合物の最適化と探索のための新手法となるもので、グラフィックプロセッサー(GPU)に対応した高速版の分子動力学エンジン「Desmond」が組み込まれている。

 スーパーコンピューターで行うような計算がデスクサイドでできるため、多くのユーザーで評価が進んでいる。同社では、GPUアクセラレーターボードを4枚搭載した評価機を2台用意して貸し出しているが、現在は順番待ちの状態。すでに正式に導入したいという企業も出てきているため、同社ではGPU搭載サーバーの構築・購入の相談にも応じることにした。「FEP+」は使うだけならボタン1つの自動実行で簡単だが、計算環境の設定が難しいため、設定済みのサーバーを準備してほしいという要望が目立つためだ。

 同社では、新たに取り組む「プロフェッショナルサービス」の一環で構築に応じる。また、このサービスでは、クラウドデータセンターを利用したシステム構築にも対応していく。これにより、同社のサービスメニューは、個別契約で受託計算や製品カスタマイズなどの研究支援を行う「アプリケーションサイエンスサービス」、本社のコンサルティングチームによる受託研究「ドラッグディスカバリーアプリケーショングループ」を含めて、幅広いニーズに応えられるようになった。

 そのほかの製品では、抗体医薬などを対象にした生物学研究統合プラットホーム「バイオルミネート」(BioLuminate)の引き合いが好調。タンパク質間相互作用(PPI)の解析も関心が非常に高いため、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)のカスタムスクリプトを用意するなどのサポートに力を入れている。また、材料科学系のソリューションスイートもユーザーでの評価が進んでおり、導入実績も出始めた。有機LEDや太陽電池関連などの材料研究がターゲットになっている。


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