シュレーディンガー日本法人がサービス事業を強化

GPU利用計算環境の構築など、階層的サービスで広くニーズ対応

 2014.12.12−シュレーディンガーの日本法人は、計算化学やモデリング&シミュレーションに対するユーザーの多様な要求に応えるため、サービス事業を強化する。既存の「アプリケーションサイエンスサービス」(AppSci)と「ドラッグディスカバリーアプリケーショングループ」(DDAG)に加えて、新しいサービスメニューとして「プロフェッショナルサービス」(ProServ)を提供開始した。とくに、日本の顧客のニーズに対応したものになっているという。

 これにより、同社のサービス事業はより階層的な体系となり、幅広いニーズに応えることが可能。ワールドワイドに提供されている「DDAG」は、20人強のエキスパートによって構成される本社のコンサルティングチームが手がける受託研究サービスで、必要に応じてプロジェクト体制を組み、1万5,000コア以上の大規模計算環境を駆使して高度な問題解決に当たる。

 また、個別契約で顧客のプロジェクト推進をサポートする「AppSci」は、解析プロトコルの相談や新規プロトコル開発、シュレーディンガー製品群をフル活用するためのカスタムスクリプトの作成、化合物データベースの作成・提供などを行う。いわば、計算そのものに関係するサービスが中心になる。

 これに対し、今回、日本法人が開始した「ProServ」は、モデリングのための環境を準備するためのサービスがメイン。きっかけは、昨年から今年にかけて関心の高い「FEP+」だという。これは、自由エネルギー摂動法(FEP)を利用したリード化合物の最適化と探索のための新手法で、グラフィックプロセッサー(GPU)に対応した高速版の分子動力学エンジン「Desmond」が組み込まれている。

 同社では、今年の夏からGPUアクセラレーターボードを4枚搭載した評価機を2セット用意して貸し出しているが、これまで事実上計算不可能だった解析が行えるため、すでに導入を決めたユーザーも出てきている。ただ、「FEP+」は使うだけならボタン1つの自動実行で簡単だが、計算環境の設定が難しいため、設定済みのサーバーを用意してほしいという要望が目立ってきているのだという。そこで、「ProServ」のサービスとして、サーバーシステムの構築相談やシステム販売を行うことにした。

 また、同社の製品群はクラウド環境での利用も可能で、Amazon Web Services(AWS)を基盤にした実績もある。しかし、顧客によってはデータセンター側でのホスティング環境の構築に苦労するケースもあるため、これも「ProServ」で請け負うことにした。さらに、GUIソフト「Maestro」のスクリプトやプロファイルを個別に作成して、操作画面/利用環境をカスタム化するサービスにも「ProServ」で対応していく。

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<関連リンク>:

シュレーディンガー(日本法人トップページ)
http://www.schrodinger.com/jp


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