日本マイクロソフト加治佐CTO会見・2015年の研究開発戦略

クラウド・機械学習などテーマに、製品化への期間短縮

 2015.02.05−日本マイクロソフトは1月29日、加治佐俊一CTO(最高技術責任者)が記者会見し、最近の研究開発のトピックスについて説明した。「モバイルファースト」「クラウドファースト」をキーワードに、研究開発のプロセスがスピードアップしており、幅広いパートナーシップを築き、オープンソースコミュニティとの連携もますます加速している。研究テーマとしては、信頼できるクラウド、機械学習、マルチプラットホームに力を入れているという。

 マイクロソフトのR&D戦略は、おおむね3年以内に製品化できる技術を対象にしたものを「開発」、3年以上先の技術を対象にしたものを「研究」と位置づけていたが、最近では製品化までのタイミングを早める方向に全体がシフトしてきている。

 具体的なテーマは、まずクラウド関連で、クラウドを安全に利用するためのセキュリティ、データプライバシー、さらにコンプライアンスや透明性がターゲットになっている。とくに、国境を越えたデータの扱いなどでは各国の法規制に対応するコンプライアンスが重要になってくるということだ。

 また、機械学習にも力を入れており、検索エンジンの「Bing」、「XBOX」のキネクトを利用した顔認識・音声認識、「Outlook.com」の迷惑メールフィルタリングなどへの応用を図っている。開発中の機械学習技術を「Azure ML」として外部に提供することも行っており、関連する技術を持つEquivio社とRevolution Analytics社を今年の1月に買収した。

 機械学習の一例が写真で犬種を判別する「Project Adam」。これは20億枚の犬の写真を学習させたもので、ネコの種類を判別するグーグルのサービスに比べて、「速さ、正確さ、必要とするリソースの量で大きくリードしている」(加治佐CTO)という。

 会見では、いくつかの開発中の技術が披露された。まず、「Handpose」はキネクトを使って手と指の動きを認識する技術で、リアルタイムに指先の細かな動きまでを正確にトレースできることが特徴。赤外線を用いることで暗い場所でも認識率を上げることが可能。また「RoomAlive」は部屋にキネクトとプロジェクターを6セット設置し、部屋全体を仮想空間にすることができる。まるでSFアニメの世界に没入するような体験を味わえる。

 続いてデモが行われたのが「ViiBoard」。大型のタッチディスプレイを介して離れたところにいる人とその場で対面しているかのようなコミュニケーションをとることができる。未来的なコラボレーション環境だといえる。

 次に、「Sway」は新時代のコンテンツ作成アプリで、機械学習によりデザイナーの思考を取り込んでいるため、だれでもセンスのあるページを作成することが可能。テンプレートが豊富に用意されており、全体のスタイルを簡単に変更することができる。しかも、作成されたページはPCやスマートフォンなどデバイスに合わせた最適な表示を自動的に行うことが可能。写真や動画、オフィスドキュメントも簡単に埋め込むことができる。英語のウェブ版はすでに公開中だが、iOS版は日本語を含めたいくつかの言語でテストが行われている。

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<関連リンク>:

マイクロソフト(Microsoft Research 紹介ビデオ)
http://research.microsoft.com/en-us/about/default.aspx

マイクロソフト(Handpose 紹介ビデオ)
http://research.microsoft.com/apps/video/default.aspx?id=230533&l=i

マイクロソフト(RoomAlive 紹介ビデオ)
http://research.microsoft.com/apps/video/default.aspx?id=230402&l=i

マイクロソフト(ViiBoard 紹介ビデオ)
https://www.youtube.com/watch?v=pBny6KfGreU

マイクロソフト(Swayのページ)
http://sway.com/


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