菱化システムが「SciMAPS」普及促進へ新パッケージ

自作プログラム研究者にGUI環境提供、初期費用下げる特別ライセンスも

 2015.06.23−菱化システムは、仏サイエノミクスの材料設計支援プラットホーム「SciMAPS」の普及を促進するため、大学などの研究者向けの新パッケージの提供、企業も含めて導入しやすい特別年間ライセンスの新設などの新たな施策を発表した。材料設計向けのモデリングシステムは、現実系に近いサイズのモデルが扱えるようになってきたことで実用性が高まり、本格的に取り組もうというユーザーが増えている。しかし、そうした裾野の広がりがニーズの多様化を招いている実態もある。今回の施策も、最近の新たなニーズに応えたものだという。

 SciMAPSは、量子化学計算からメソスケール計算まで、材料設計のための各種計算手法を統一的に利用できるようにするプラットホーム製品。計算エンジンの多くは外部のものを組み込んで使う形式で、分子動力学法ソフト「LAMMPS」「NAMD」、第一原理バンド計算ソフト「ABINIT」、量子化学計算ソフト「TURBOMOLE」「NWChem」、半経験的分子軌道法ソフト「MNDO」、モンテカルロ計算ソフト「Towhee」−などに対応。これらの計算エンジンを活用することにより、QM/MM(量子力学と分子力学のハイブリッド)計算やメソスケールに拡張したDPD(散逸分子動力学)計算なども行うことが可能。

 今回追加されたアカデミック(学位授与機関)向けパッケージ「SciMAPS-Basic」は、これらの計算エンジンを外して、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)によるプリポスト機能だけに絞った製品構成になっており、おもに自作のプログラムを活用したい研究者を対象にしている。

 研究に自作プログラムを使用する際のネックは、入力ファイルの作成と計算結果の解析であり、GUIが整っていないことに起因する。入力ファイルはテキストで作成されることが多いが、材料系の大規模モデルになると座標の打ち込みだけでもたいへんな手間になる。そこで、今回のベーシックパッケージを利用すると、SciMAPSのわかりやすいGUI環境で高分子やアモルファスのバルクモデル、界面モデルなどを簡単に構築することが可能。とくにアモルファスビルダーの機能は優れており、既存ユーザーからの評価も非常に高い。ベーシックパッケージは、スクリプト機能を経由してユーザーが指定した形でファイル出力することができるため、自作プログラム向けの入力ファイルも楽に作成することが可能。

 逆に、計算結果をSciMAPSにインポートすることによって、GUI環境を使ってさまざまな解析・可視化を行うことができる。欧米では、このベーシックパッケージを一足早く提供したところ、わずか数ヵ月で百本売れるなど、大きな反響があったという。

 一方、特別年間ライセンスは、初期導入費用を下げるための提案で、大学・民間の区別なく適用される。SA50とSA25の2種類があり、SA50は永久ライセンスの50%の金額を3年間支払うと、4年目からは永久ライセンスに転換できるというもの。SA25は、1年目に永久ライセンスの25%を、その後の3年間は50%の金額を支払うというパターンになる。どちらも、支払い後は通常の永久ライセンスと同じになるので、保守契約によってバージョンアップやサポートを受け続けることができる。

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<関連リンク>:

菱化システム(科学技術システム事業部のトップページ)
http://www.rsi.co.jp/kagaku/cs/index.html

菱化システム(SciMAPS 製品情報ページ
http://www.rsi.co.jp/kagaku/cs/scienomics/index.html


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