日本オラクルがクラウド型ERPソリューションを強化

“2層ERPモデル”に対応、製品企画を支援する新製品も投入

 2015.08.27−日本オラクルは26日、クラウド型ERPソリューションの製品体系を強化し、新製品の設計・開発に先立つ製品企画段階を支援する「Oracle Innovation Management Cloud」を国内で提供開始すると発表した。同社のクラウド型ERPは業務の網羅性に優れ、すべてを単一のデータモデルで統一しているため、業務間の連携が容易で、一貫したビジネス分析が可能になることが特徴。とくに、本社業務をオンプレミス型ERPで固め、子会社・関連会社や海外拠点には柔軟性の高くコスト面で有利なクラウド型ERPを展開するという“2層ERPモデル”に適しているとして、広く普及を狙っていく。

 オラクルは、クラウド型ERPで世界で1,100社の導入実績があり、アクティブユーザー数は6,200万以上、世界に19ヵ所のデータセンターで毎日230億以上のトランザクションを処理しているという。ERP/EPMクラウド(リソースプランニングとパフォーマンス管理)、HCMクラウド(人財管理)、マーケティングクラウド、セールスクラウド、サービスクラウド〜を5本の柱として、企業の業務領域のほとんどをSaaSで網羅している。

 最近のERP市場のトレンドとして、2層ERPモデルが広がってきている。本社のコアなERPはグローバルスタンダードなオンプレミス型ERPを引き続き使用し、拠点単位の活動や新しい事業を支えるERPにはコストと柔軟性に優れるクラウド型を採用して、コアのERPとのデータ連携を図るというもの。ただ、クラウド型をさみだれ式に導入した結果、コアのERPとのデータ連携がうまくいかないケースも散見されるという。「Oracle ERP Cloud」は、オンプレミスもクラウドもすべて単一のリポジトリにデータが格納されるため連携が容易であり、あらゆる角度からのデータ分析も可能。今後、“POCO”(The Power of Cloud by Oracle)をキャッチフレーズに、同社のクラウドソリューションの価値の浸透を図っていくとしている。

 さて、今回の新製品である「Oracle Innovation Management Cloud」は、エンジニアリングチェーンを構成するPLM(製品ライフサイクル管理)領域のシステムで、欧米でも提供されてまだ日が浅いが、すでに10社以上が採用し、5万人のユーザーが使い始めている。市場や顧客ニーズを収集・体系化し、ニーズと自社の持つ技術要素への紐付けを行い、製品コンセプトをまとめ、収益性なども考慮して企画案を練り上げていく過程をまとめて支援することができる。

 単独でも使用可能だが、「Oracle Project Portfolio Management」や「Oracle Product Lifecycle Management」と連携することにより、複数の企画段階の製品の中から商品化する製品の選定、人員やリソースの配置パターンによる収益へのインパクトとそれを最大化するためのシミュレーションを行うことが可能。製品化までのプロセスを可視化し、開発部門・製造部門・営業部門などの各部署が新製品開発に参画する現場主導型イノベーションを実現するという。また、製品ポートフォリオを考慮した開発プロジェクトを定義・管理することができるため、プロジェクトの進捗を管理するだけでなく、どのプロジェクトを優先すべきかも判断しやすい。

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<関連リンク>:

日本オラクル(Oracle ERP Cloud 製品紹介ページ)
http://www.oracle.com/jp/corporate/features/erp-cloud/index.html

米オラクル(Oracle Innovation Management Cloud 製品紹介ページ)
http://www.oracle.com/us/products/applications/agile/innovation-management/overview/index.html


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