2016年夏CCS特集:化学情報協会

実験手順を手軽に調査、新データベースを提供開始

 2016.06.23−化学情報協会は、米ケミカルアブストラクツサービス(CAS)の国内総代理店として科学情報検索ツール「SciFinder」のサービスを提供。化合物情報や反応情報、特許情報などの豊富なコンテンツを武器として、さらに機能強化を進めてきている。とくに、今年から新オプションとしてリリースされた「MethodsNow」が注目されている。

 これは、CASが作成する世界最大の実験プロトコルデータベースで、「Synthesis」と「Analysis」の2つの機能がある。

 まず合成手順を知ろうとする場合、通常のSciFinderだけでも反応情報を検索し、実験手順を表示する機能があるが、最終的には元になる文献を取り寄せなければならないケースが多かったという。 MethodsNowのSynthesisを利用すると、通常の反応検索結果からのリンクで詳細な実験手順を知ることが可能。生成物、反応物、試薬、溶媒、合成手順、スケール、スペクトルデータ、状態−などが登録されており、多段階反応の合成手順もステップごとに確認することができる。米国化学会(ACS)系だけでなく化学合成分野の主要な雑誌を網羅しており、かなり使い勝手がいい。検索した情報をテーブルにしてPDFやエクセル形式で出力できるのも便利だ。収録件数は約215万件で、年内には300万件を突破する予定。

 一方のAnalysisは、CASがまったく新規に開発したコンテンツで、画面がSciFinderとは独立しており、単独で使用契約を結ぶこともできる。こちらは、特定の化学物質の分析方法を調査するためのデータベース。キーワードや分析メソッドのカテゴリーで検索し、柔軟に情報を絞り込んだり、3つまでのレコード(分析手法)の比較表をつくったりして、調べることが可能。レコードには、分析に用いた物質情報、出典の書誌情報、使用機器、分析条件、分析手法、バリデーションが収録されている。分析に用いた物質の構造やCAS登録番号を知ることも容易。環境分析など幅広い利用が期待されるという。

 そのほか、SciFinderの新しいコンテンツとして、ドイツの伝統ある「ケミッシュ・セントラルブラット」のデータを索引付きで収録した「ChemZent」が提供開始された。1830年から1969年までの情報が納められており、これが英語で検索できるようになったのは初めてだという。


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