アフィニティサイエンスが生命科学系モデリングソフト「YASARA」

膜タンパク質など素早くモデル化、MD計算・ドッキングも統合

 2016.09.29−アフィニティサイエンスは、オーストリアのYASARAバイオサイエンス社と代理店契約を結び、創薬研究に利用するための生体分子系のモデリング&シミュレーション機能を統合化した「YASARA」を国内で販売開始した。膜タンパク質などの複雑なモデルを素早く構築する機能を備えており、分子動力学計算やドッキングシミュレーション機能も搭載している。低価格も武器で、同社ではインシリコスクリーニングに初めて取り組むユーザーにも使いやすいとして、農薬や化粧品などの非製薬分野も含め幅広い普及を目指していく。

 「YASARA」は2003年にリリースされたパッケージソフトで、すでに大学や製薬会社を中心に4万4,000人の登録ユーザーがいるという。

 製品構成は、タンパク質のグラフィック表示を中心とした「YASARA View」(無償)、立体視やアニメーションなどの高度な表示機能と、タンパク質の構造計算や機能解析機能を付加した「YASARA Model」(買い取り価格で民間向け8万7,000円、教育用1万9,000円)、GPU(グラフィックプロセッサー)対応の高速分子動力学法(MD)シミュレーション機能が利用できる「YASARA Dynamics」(同じく34万7,000円と4万6,000円)、タンパク質のホモロジーモデリングと低分子化合物とのドッキング機能を搭載した「YASARA Structure」(同じく52万1,000円と6万3,000円)に分かれている。WindowsとLinuxで動作するが、MacOS X版も用意されている。

 大きな特徴は洗練された画面と操作性。とくに、膜タンパク質のモデリングには定評があり、配列の二次構造をスキャンして膜領域を抽出し、脂質を配置してから水分子を付加するなど、一連の手順が自動化され、簡単に行うことができる。すでに、他社モデリングソフトを使用中のユーザーの中からも、膜タンパク質のモデリングにはこちらを使いたいという声もあるという。

 また、チュートリアルもユニークで、インタラクティブなムービー風になっており、操作法を楽しく学習することが可能。教育用途での実績の大きさが反映されたものといえそうだ。

 「YASARA Dynamics」に内蔵されているMDプログラムには膜タンパク質のシミュレーションを支援するユーザーインタフェースが組み込まれており、初めてのユーザーでも簡単に解析を行うことが可能。MDは自社開発品だが、GPUを利用した並列計算に対応していることも魅力。PCに内蔵された一般のグラフィックボードでも一定の効果が出るという。

 一方、「YASARA Structure」のドッキングエンジンには、AutoDock VINAを使用する。ホモロジーモデリング機能も使いやすく、参照タンパク質がない場合でも、標的タンパク質の立体構造を効率良く作成することができる。オプションで、NMRからの立体構造解析支援ツールもも用意されている。

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<関連リンク>:

アフィニティサイエンス(トップページ)
http://www.affinity-science.com/

アフィニティサイエンス(YASARA 製品情報ページ)
http://www.affinity-science.com/yasara/


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