CCS特集2016冬:富士通九州システムズ

自社開発製品を機能強化、病院薬剤部との共同研究も

 2016.12.06−富士通九州システムズ(FJQS)は、海外子会社のFQSポーランドを含めた独自のCCS事業体制を構築。自社製品を開発するとともに、富士通や菱化システムが取り扱っている製品群の販売も行って事業範囲を広げている。

 FQSポーランドは、CCS製品の自社開発を行うとともに、海外市場に向けたグローバル拠点でもあり、富士通の材料系分子モデリングシステム「SCIGRESS」も、海外ユーザーに対してはFJQSのルートで主に販売・サポートが行われている。

 さて、自社製品では、薬物相互作用シミュレーションソフト「DDI Simulator」の開発が進行しており、来年春には最新のバージョン2.5に機能強化される。計算には、薬物の体内動態をあらわすパラメーターを入力する必要があるが、これまではエクセルなどの外部のソフトでパラメーターを算出しておく必要があった。次の最新版では、このためのフィッティング機能が内蔵され、パラメーターの準備からシミュレーション実行までの一連の操作をスムーズに行うことができるようになる。

 今後は、薬物を併用した際の相互作用による副作用の強さを予測する機能を利用し、医療分野への応用も注目されている。患者の遺伝子タイプに合わせて効果のある薬物を選択したり、薬物の効果が最大になるように用法・用量を調整したりする用途にも対応できるとして、大きな病院の薬剤部などとの共同研究も進みはじめているという。

 また、薬理活性・薬物動態・毒性スクリーニング統合システム「ADMEWORKS」は、予測結果の信頼性を確認しやすいようにGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を改良した最新版を12月にリリースする。モデルのベースになった母集団と予測した化合物との構造的距離、予測した化合物のパラメーターが母集団の範囲内かどうかなどが一目で把握できる。

 さらに、ICH M7に関連した変異原性予測モデルでは、国立医薬品食品衛生研究所が実施している「グローバルQSARプロジェクト」に参加し、モデルの改良に継続して取り組んでいる。

 そのほか、同社は富士通グループのシステムインテグレーターとして各種の開発案件にも携わっており、最近では化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)対応の化学物質等安全データシート(MSDS)作成ツールの構築を受託した。社内の化学物質データベースと連携し、危険有害性判定システムを組み込むなどのユーザー固有の要求を満たすシステムになっているという。


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