CCS特集2016冬:TSテクノロジー

包括型の研究受託が好評、AI応用で遷移状態探索も

 2016.12.06−山口大学発ベンチャーの計算化学専門ベンダー、TSテクノロジーは医薬・化学・材料メーカーの研究開発を支援するための各種サービスを提供。とくに、受託計算/受託研究に関するメニューを広げたことで実績が拡大してきている。

 同社の受託サービスは、あらかじめ決まった物性計算などを行う「クイックオーダー」、ニーズに合わせてカスタム対応する受託研究受託タイプの「フルオーダー」、半年などの期間を定め、専任者を割り当てて仕事をする「包括業務契約」(FTE契約)の3種類を用意している。

 とくに、今年4月からスタートしたFTE契約は、電子材料関連の無機材料シミュレーションなどですでに実績も出始めている。このケースでは、計算で実験値と合致する結果が得られたため、次のステップとして、実験が行われていない系で計算主導型の開発に取り組むことも検討されているということだ。また、フルオーダーの利用者からも、FTE契約への引き合いが増えてきている。

 FTE契約は、専任スタッフを社内の計算化学部門のように自由に利用できる。このため、同社はFTE契約の潜在需要は大きいという手応えをつかんでおり、今後は客先に常駐して仕事をするような要望にも応えていきたいとしている。

 一方、アカデミック精神で新たな技術開発に挑戦。反応解析で重要な化合物の遷移状態の探索を、機械学習(ディープラーニング)で自動的に行うアルゴリズムを開発した。繰り返しで試行錯誤する問題には機械学習が適しているとして、この1〜2年間研究してきたもの。最適な遷移状態がスピーディーにみつかるようになれば、そのインパクトは大きいという。

 同社は今年8月に「量子化学計算と人工知能技術を用いた統合型材料開発システム」のテーマで、中国経済産業局から中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律に基づく特定研究開発等計画の認定を受けた。実用化に向けたさらなる開発が期待される。


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