米タイオガリサーチが日本市場に意欲

皮膚に適用する薬剤専門CROサービス、医薬・化粧品はじめ素材・原料も

 2017.04.14−皮膚に使用される医薬品や化粧品を専門とするCRO(医薬品開発受託機関)、米Tioga Research(タイオガリサーチ、本社・カリフォルニア州サンディエゴ、ジョン・ニューサムCEO)が日本におけるビジネスに意欲を示している。さきごろニューサムCEO(John M Newsam)が3週間の予定で来日し、関東、関西、北陸の製薬企業などを来訪し、トップセールスを実施した。原料・素材や配合比率の複雑な組み合わせを高効率で評価する“ハイスループット実験”(HTE)技術を核にしており、通常の実験の10〜100倍の速度で製剤化などの検討ができるのが大きな強みとなっている。

 同社の前身はニューサム氏が2005年に創設したFqubed社(エフキューブド)で、2005年にNuvo社に買収されその傘下で活動したのち、2011年2月にスピンアウトし、あらためて独立した事業展開を行っている。Nuvo時代には、膝に直接塗布する変形性関節症治療薬「PENNSAID」の開発に貢献した。独立後は、世界トップ2の製薬企業の1社、世界トップ7の化粧品会社のうちの4社を含む企業と取り引きがあり、日本でもすでに2つの製薬企業とプロジェクトを進めた実績がある。

 とくに、皮膚に適用する薬剤の研究および開発の初期段階にフォーカスしたCROサービスを提供。コンセプトアセスメントからターゲット製品のプロファイリング、製剤の評価と改善、皮膚への浸透と薬物送達の測定、最終処方の検討や安定性評価、特許のサポートまで、当局への申請に至る幅広いサービスを実施している。

 とくに、HTE技術についてはニューサムCEO自身がパイオニアで、1998年に日本の雑誌「現代化学」を通し、初めてHTEという言葉を世界に発信した。初期は触媒開発などに使われたが、2000年代に入って皮膚浸透のスクリーニングに特化したアプリケーションが発達してきた。「配合の少しの違いで浸透性に大きな変化が生じるため、多く実験するほど良い発見が得られる。ただ、通常の実験では1つの組み合わせを試験するのに1週間かかることもある」とニューサムCEO。ロボットを使って高速・並列的に実験するHTEにより、その速度を10〜100倍に高めることができるという。

 同社では、HTEのためのプラットホーム開発にも意欲的に取り組んでおり、高効率な「INSIGHT」「FUROR」、精度重視の「TORNADO」のほか、皮脂を対象にした「DSPSS」「SPATE」、化粧品・パーソナルケア向けの「RINSER」、さらに「STORM」「TEMPEST」などを用意。この分野のHTEでは屈指の存在となっている。

 また、ニューサムCEOは1982年から2年間、東北大学物理学科で客員研究員を務めるなど日本とは特別な関係があり、日本語も堪能。共同創設者を含めて6つの企業を立ち上げたが、それらのキャリアのなかで日本市場でのビジネス経験も積んでいる。こうしたことから、タイオガ社としても日本市場に意欲を示しているもので、今回は皮膚適用製品向け賦形剤の主要サプライヤーや、経皮パッチに使用される材料メーカーなどにも足を運んだという。

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<関連リンク>:

米タイオガリサーチ(トップページ)
http://www.tiogaresearch.com/


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