京都大学が民間企業7社とバイオリソース事業の新会社

新たな産学連携モデル「KBBM」設立、革新的医療開発を推進

 2018.03.21−京都大学と富士通など民間企業7社は20日、革新的医療開発を実現するための新たな産学連携モデルの取り組みとして、新会社「KBBM」(Kyoto Bridge for Breakthrough Medicine)を設立したと発表した。京都大学医学部附属病院に設立されたクリニカルバイオリソースセンターによるワンストップバイオリソース事業と連携して、患者などから提供されたヒト試料を医薬などの研究開発で利用するための枠組みの構築を目指す。将来的には、大学などのアカデミアで発見または開発されたシーズが、実際の医療現場に速やかに導入されることにつながっていくという。

 患者や健常者から提供されたヒト試料(血液や病気の組織の一部といったバイオリソース)の利活用を推進することにより、新薬などを臨床応用する前段階で、その有効性と安全性を生体試料を用いて直接検証したり、多くの分子生物学的解析データと臨床情報を関連づけながら病態を解析したりすることが可能となる。また、研究開発シーズ選定の効率化と迅速化、不要な臨床研究の減少など、対象となる臨床研究参加者の負担の軽減にもなると考えられる。

 ただ、ヒト試料の利活用に当たっては、個人情報やプライバシーの保護など研究倫理の遵守が求められるとともに、バイオリソース事業としての公共性の維持も重要。試料を取り扱う際の採取・搬送・保存などの見える化や、倫理的な観点からの監督・管理が必要になってくる。京都大学では、医学部附属病院クリニカルバイオリソースセンターにおいて、こうした高度な管理体制を実現。継続性のある研究基盤体制を民間企業7社と共同で構築することにした。

 KBBMに対しては、京都大学が独自に創案した高度な倫理ガバナンスモデルを導入し、参画企業との間で各種契約を締結することに加え、京都大学が設立した一般社団法人バイオリソース事業ガバナンスホールディングスによる拒否権付種類株式を保有することで、この事業活動の倫理面を規律するスキームとなっている。

 今回、参画した民間企業は、エスアールエル、椿本チエイン、シスメックス、富士通、アスクレップ、島津製作所、SCREENホールディングスの7社。このうち、富士通はKBBMに出資するとともに、その業務オペレーション、データベースなどに関するシステムを開発・提供している。

 なお、新会社の代表は田澤裕光社長(エスアールエル会長)で、資本金は3億150万円、本社所在地は京都大学医薬系総合研究所棟内に置かれている。

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