2018年夏CCS特集:コンフレックス

配座探索と量子化学を連携、GPU対応高速化で注目

 2018.06.20−コンフレックスは、自社開発の配座空間探索ソフト「CONFLEX」を昨年11月にバージョン8に機能強化。新規ユーザーからの受注も拡大し、大きく実績を伸ばした。とくに、量子化学計算ソフト「Gaussian」との連携で注目されており、まず精密な配座解析を行うことの重要性が広く認識されてきているという。

 同社は、設立18年の独立系ベンダーで、CONFLEX、Gaussian(米ガウシアン)のほか、分子動力学法ソフト「AMBER」(米カリフォルニア大学)、「ChemDraw/ChemOffice」(米パーキンエルマー)も含めて総合的な計算化学ソリューションを提供している。

 CONFLEX 8 の新機能でとくに注目されているのが、同じマシンにインストールされているGaussianを直接呼び出す機能。量子化学計算を行う際、入力された分子構造の配座が異なっていると、計算結果が大きく変わってしまう。つまり、正確な配座で計算しないと正しい計算結果にならないわけだ。反応解析もスペクトル予測も信頼できないことになってしまう。

 このため、CONFLEXによる配座探索を組み合わせることが重要であり、同社では長年この利点を訴えてきたが、今回ファイル経由の連携ではなく、CONFLEXの中からGaussianを直接起動できるようになったことで、利便性が大きく向上した。具体的な使用法を実習で学べる講習会も反響が大きく、すぐに満席になってしまう状況が続いているという。

 そのほか、CONFLEX 8 の新機能では、ホストリガンドがどの位置にどの向きで配位するかを探索する機能が注目されている。二量体や錯体の安定構造の探索に有効。また、目玉の1つである動的反応座標(DRC)機能については、今年秋に予定しているリビジョンアップでチュートリアルを増やし、実用性を高めていくことにしている。

 一方、今年4月には最新版のAMBER 18 およびAMBERツールズ18がリリースされている。GPU(グラフィックプロセッサー)対応が強化され、自由エネルギー計算(サーモダイナミックインテグレーション=TI)が可能になっている。最新のGPUをサポートしているため、まずはゲーム用グラフィックカードでその威力を試してみるユーザーも多い。ただ、ゲーム用のカードは計算精度に不安があるため、実用に際しては技術計算用のGPUモジュールを使用することが望ましいということだ。


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