2018年夏CCS特集:伊藤忠テクノソリューションズ

電子実験ノートで最適提案、AIプロジェクト参画も

 2018.06.20−伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は、昨年4月に子会社の「CTCライフサイエンス」を吸収・統合し、ライフサイエンス事業部を新設。新体制の初年度は、電子実験ノートをはじめとして全般的に好調に推移した。高速・大容量のストレージの設置など、システムの運用にともなうインフラ系の需要の獲得にもつながっており、統合効果は着実にあらわれているという。

 同社は、電子ノートではダッソー・システムズ・バイオビアの「BIOVIA Workbook」と「BIOVIA Notebook Cloud」、英IDBSの「E-WorkBook」を取り扱っており、今年も引き続き力を入れていく方針。それぞれのシステムの特徴を生かしつつ、顧客ニーズに合わせた最適な提案を行う。製薬業以外にも、化学・食品・化粧品などで引き合いが増えており、予算に制約がある場合や少人数でスタートしたい企業などではクラウド版を検討する例が増えている。

 IDBS製品は、オンプレミス版とクラウド版で機能が同等であり、海外ではクラウドで利用するユーザーが増加中。開発元も、データ共有機能やインベントリー管理など、クラウドを前提とした機能の開発に力を入れているという。製薬業以外ではBASFやロレアルが導入しており、昨年日本でも非製薬で最初のユーザーを獲得した。

 一方、全社的な方針に沿って人工知能(AI)への取り組みを推進。京都大学らを中心に発足したライフインテリジェンスコンソーシアム(LINC)に参画するなどして将来への布石を打っている。LINCにおいては、「バイオロジクス関連AI」と「結晶形・製剤関連AI」の2つのプロジェクトを推進中。前者は抗体の配列からエピトープ(抗体が認識する抗原の一部分)を予測しようというもの。後者は、医薬品製造に使用する粉粒体装置の洗浄工程で、作業中の動画を使って内面に付着残留した粉体を検出することを目指している。

 また、実際にAI導入を進めたい企業向けには、学習データの作成支援サービスを提供することも可能。加えて、ユニークなAI技術を持つスタートアップ企業に関する情報を求める声も高まってきているため、欧米はもちろん、中国の企業も含めてアンテナを高く張っているということだ。


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