2018年夏CCS特集:富士通九州システムズ

薬物相互作用予測で最新版、学習データ収集でも関心

 2018.06.20−富士通九州システムズは、化合物の活性や毒性を予測するモデリングソフト「ADMEWORKS」や薬物相互作用を解析する「DDI Simulator」、薬物代謝情報を調べる「ADME Database」などの自社開発製品を中心に製薬業の研究開発を支援。それに加え、富士通やモルシスのCCS製品群も扱うことで幅広いユーザーニーズに応えている。

 昨年は、人工知能(AI)ブームの盛り上がりを背景に、ADMEWORKSの導入が伸びたが、これは既存の統計的予測手法との比較検証を目的とした需要が増えたと考えられるという。ただ、ADMEWORKS自体も機能強化されており、今年から新しい変異原性予測モデルの提供を開始している。国立医薬品食品衛生研究所が実施した「グローバルQSARプロジェクト」の成果を製品化したもので、同研究所が持つ8,000件の試験データを利用して構築したモデルとなっている。

 また、同様にAIブームの関連で、多くの学習データをインターネットから効率的に収集する方法への関心が高まってきた。これは、同社が「データスクーパー」として製品化した技術を利用したもので、調査対象に指定した複数のウェブサイトから目的の情報を自動的に抽出・集約する機能を生かし、顧客ニーズに合わせたソリューションに仕上げて提供している。

 一方、主力製品に位置づけているDDI Simulatorは7月にバージョン2.5をリリースする。とくに、小腸代謝阻害・誘導モデルを改良し、消化管の水の量を考慮し、消化管における阻害薬/誘導薬濃度が経時変化するモデルを導入。実際の体内における薬物の挙動を表現することが可能。また、誘導薬濃度と誘導効果の関係がシグモイド型を示す化合物にも対応する。

 今後の機能強化としては、肝臓を5つのコンパートメントに分割して扱う新たなトランスポーターモデルを搭載するほか、体内動態の非線形性を示す化合物への対応、代謝物の血漿中濃度推移の予測などを予定している。

 また最近では、医薬品の適正使用を推進するメディカルアフェアーズ関係でDDI Simulatorに注目する動きも出てきており、同社ではさらなる応用展開を図りたい考えだ。


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