2018年夏CCS特集:パーキンエルマー

臨床データ解析などで拡大、電子実験ノート導入に活気

 2018.06.20−パーキンエルマーのインフォマティクス事業部は、電子実験ノートなど医薬品研究開発分野における強みを保持しつつ、データアナリティクス分野で新しい領域へとビジネスを拡大している。日本を含むアジア太平洋地域全体では、半分近くがアナリティクスの売り上げになってきており、過去に蓄積したデータの解析から、リアルタイムデータの解析へと、応用範囲はさらに広がりつつある。

 同社の電子実験ノート「E-Notebook」は製薬業向けで豊富な実績を持つが、このところ化学・材料企業からの注目度があがってきているという。データを蓄積・活用したいというニーズが高まっているためで、さまざまな実験機器から測定データを取り込んだりする基本機能は共通であり、フォーミュレーションモジュールを中心にこの分野での採用が広がってきている。

 さらに、クラウド版の「Signals Notebook」も好調。とくに、論文の不正を防止するなどの目的で実験データを適切に管理したいというニーズが高い大学向けで導入が相次いでいる。今年の日本化学会でも特別企画として電子実験ノートの活用が取り上げられ、広く関心を集めた。クラウド版であるため開発速度が速く、E-Notebookとの機能差もどんどん縮まっているということだ。

 一方、電子ノートなどで蓄積したデータを活用するのがアナリティクス製品の「Spotfire」である。最近では製薬会社における臨床データ解析で多用されている。臨床試験のスピードと品質を向上させるために役立っており、過去のデータと現在実施中のプロジェクトとの統合解析や、各プロジェクトのコスト・工数管理・予算実績管理などが容易。研究開発の費用やリソースの効率的な活用を可能にしている。医薬品製造のプロセス条件を最適化する用途でも利用されており、各種プロセスデータからの最適条件の探索で、エクセルで2週間かかっていた作業を数分で終わらせたなどの事例があるという。

 また、海外では医療機関での活用も増えており、その点で「Attivio」が注目されている。これは、各種ドキュメントなどの非構造化データを構造化し、Spotfireで解析できるようにするミドルウエア。これにより、いわゆるダークデータ(構造化されておらず活用できなかったデータ群)に光が当たり、見逃されていたさまざまな知見を引き出すことができるようになった。


ニュースファイルのトップに戻る