2018年夏CCS特集:シュレーディンガー

実験同等の精度で活性予測、有機EL研究でも高評価

 2018.06.20−シュレーディンガーは、低分子創薬から、バイオ医薬品、材料科学、研究インフォマティクスまでを幅広く網羅する高機能なスイート製品によって、医薬・化学・材料分野の研究開発を支援。受託計算や受託研究などのサービスを含め、グローバルに急成長しているベンダーである。日本法人が設立されて7年になるが、精力的に技術・営業などを増員しており、昨年も高い成長を達成したという。

 生命科学向けでは、リガンドベース(LBDD)とストラクチャーベース(SBDD)のモデリング&シミュレーション、化合物ライブラリーやデータ解析、コラボレーションなどのインフォマティクスソリューションを揃えており、創薬研究を多方面から総合的に支援することができる。とくに、自由エネルギー計算を利用した活性予測を行う「FEP+」は、GPU(グラフィックプロセッサー)を利用することで実験値と同等の精度の計算を高速に実行することが可能。新たに提供される「パスファインダー」を使えば、反応系を考慮した化合物創製が可能になるため、それをFEP+で評価することにより、インシリコ創薬の確度と速度が格段に向上すると期待される。計算の基盤となる力場もOPLS3からOPLS3Eに改良されており、精度がさらに高まっている。

 一方、材料科学系では、有機EL発光材料研究に焦点を当てた機能強化が目立っている。熱活性化遅延蛍光(TADF)分子の波長を複数の汎関数を使って計算し、その結果をもとにスクリーニングする機能を実現したほか、量子化学計算を用いたバンドシェイプ機能などが注目されている。また、創薬研究向けのコラボレーションツール「Live Design」をこの分野に利用することも検討中。最近では複数の研究チームが連携することも多いため、計算と実験のコラボ、情報共有、蓄積したデータに基づく議論などをネットワーク上で行うことができる。

 そのほか、マテリアルズインフォマティクスへの取り組みも進んできており、同社では28日に開催する材料系ユーザーフォーラムで最新情報を広く提供することにしている。


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