アドバンスソフトがナノ材料解析のための統合GUIソフト

MI研究に照準、シミュレーションにOSS活用

 2018.07.26−アドバンスソフトは、マテリアルズインフォマティクス(MI、材料インフォマティクス)の活用など、材料研究に役立つ統合GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)ソフトを開発、「Advance/NanoLabo」の商品名で販売開始した。MI向けデータベースの検索から、結晶構造などのモデル化、計算用の入力ファイル作成、計算結果の解析まで、一連の処理をGUIで行うことができる。QuantumESPRESSOやLAMMPSなどのオープンソースソフト(OSS)に対応している。価格は年間ライセンスで50万円から。出荷開始は8月1日で、初年度200本の販売を見込んでいる。将来は海外での販売も視野に入れる。

 「Advance/NanoLabo」は、材料設計分野で人気があるQuantumESPRESSO(第一原理計算)やLAMMPS(分子動力学計算)などのOSSソルバーをグラフィカルに操作するために開発された。材料研究者が初めてでもこれらのソフトを使いこなせるように、QuantumESPRESSOとLAMMPSを対象にした年間サポートサービスをそれぞれ50万円(アカデミックは半額)で提供する。

 「Advance/NanoLabo」自体の機能としては、まず無償で利用できる材料データベースであるMaterials Project(米MITが公開しているMI向けデータベース)およびPubChem(米NCBIが提供する化学物質データベース)に接続して構造検索を行う機能がある。取得したデータは、それに含まれる結晶構造がアイコンで表示されるため、ファイルを開かなくても中身がわかるように工夫されている。

 また、スーパーセルや表面モデルなど、簡単な操作で計算用のモデル作成が可能。とくに、スラブモデルについては、ミラー指数や結晶の方向性を指定するだけで一気に表面をモデリングすることができる。QuantumESPRESSOやLAMMPSの入力ファイル作成も、あらかじめデフォルト値が設定されているため、初心者でも一定の計算を実行することは容易である。

 現在の計算機能は、SCF計算、構造最適化、バンド構造、状態密度、第一原理MD、古典MD、TD-DFT(UV可視スペクトル)、Phonon(バンド、状態密度、比熱、IRスペクトル)など。計算エンジンに自社のAdvance/PHASEを使用することもできる。

 さらに、来年には機能拡張版の「Advance/NanoLabo Pro」(仮称)の製品化を予定しており、こちらでは新しいソルバーとしてNWChemをサポート。モデリング機能も、界面モデル、高分子周期構造、表面への小分子吸着、溶媒分子の充填、NEB反応経路予測などが加わる。計算機能としても、CPMD、GIPAW(NMRスペクトル)、XAFS/EELSスペクトル、STMイメージ、電荷密度/波動関数の出力、溶媒シミュレーション、弾性係数、熱力学量(エンタルピー、エントロピー、自由エネルギー)、相図、合金(クラスター展開法)、NEB法(反応経路の自動チューニング)、XPSスペクトル、吸着サイト全探索、電極の充放電解析−などと充実する予定だ。

 なお、「Advance/NanoLabo」の年間ライセンスは、1本で50万円(アカデミック25万円)、3本で120万円(同60万円)、5本で175万円(同87万5,000円)となっている。8月1日から、1ヵ月間利用できる無料のトライアル版の入手が可能。和文/英文のマニュアルもウェブで公開する。また、来年3月末までに購入すると、通常料金でPro版を入手できるキャンペーンも行う。

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<関連リンク>:

アドバンスソフト(トップページ)
http://www.advancesoft.jp/

アドバンスソフト(Advance/NanoLabo 製品紹介ページ)
http://www.advancesoft.jp/product/advance_nanolabo/


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