NIMSらの研究グループが材料設計を支援するAIを開発

プロセス・構造・特性の相関関係抽出、学術論文からの深層学習

 2018.09.27−物質・材料研究機構(NIMS)は25日、豊田工業大学シカゴ校の研究グループと共同で、科学技術論文から材料設計に必要なプロセス・構造・特性に関する因子とその相関関係を抽出し、整理・可視化する人工知能(AI)を開発したと発表した。数千の論文の文章データを自然言語処理によって学習させたもので、設計者の知識を補助し、合理的・効率的な材料設計に利用できるようにするもの。自然言語処理と深層学習を材料設計に活用した先進的な取り組みであり、関連研究をさらに推し進める目的で、今回開発したAIのソースコードを無償で公開することにしている。

 今回の研究は、NIMS構造材料研究拠点の渡邊育夢主任研究員、統合型材料開発・情報基盤部門の門平卓也グループリーダーと、豊田工業大学シカゴ校の大西健史 大学院生によって行われ、Science and Technology of Advanced Materials誌に論文が掲載された。

 材料の性能は複数の特性で決まるが、それらの特性は構造およびその構造を制御するプロセスと密接に関連している。このため、望ましい特性と、それに関連するはずの構造やプロセスとの相関関係を理解することが、材料設計にとって重要になる。そこで、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)の手法が注目されているが、予測のために必要なデータが不足しているのが実情だった。

 今回の研究はMIとはやや異なるアプローチで、科学技術論文を教師あり深層学習によって学習することにより、材料設計に必要なプロセス・構造・特性に関係する因子とその相関関係を抽出し、その相関図を描画するAIアルゴリズムを開発したもの。ユーザーが、例えば鉄鋼材料に関して“強度”と“延性”を特性として選ぶと、両特性の制御に有効であると知られている微細複合組織に関する構造・プロセス因子との相関関係を図示することができる。

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<関連リンク>:

ソースコード公開のURL:
https://bitbucket.org/0024takeshi/pspp_relation

掲載論文へのリンク:
https://doi.org/10.1080/14686996.2018.1500852


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