CCS特集2019年夏:富士通九州システムズ

共創モデルで事業再構築、自社開発製品に新機能搭載

 2019.06.21−富士通九州システムズは、産学官連携を通した共創モデルに基づくビジネス創出を目指す。同社は、富士通やモルシスとの提携で海外のCCS製品を販売することで幅広いユーザーニーズに対応しているが、薬物代謝・毒性予測モデリングソフト「ADMEWORKS」など国産ソフト開発を行う数少ないベンダーの1社であり、その開発力を生かしてさらなるビジネス拡大を図っていく。

 同社は、2015年度から日本医療研究開発機構(AMED)が実施している「創薬支援インフォマティクス構築」事業に参画。医薬基盤・健康・栄養研究所および理化学研究所との共同による研究成果を製品化することを目指している。医薬健栄研と理研が構築した薬物代謝と心毒性に関する予測モデルを、開発中の次期ADMEWORKSに搭載して2020年度初旬にリリースする計画。ADMEWORKSは、プログラム自体を大幅に刷新し、新しい人工知能(AI)アルゴリズムに柔軟に対応するなどの近代化に取り組んでおり、ハンブルク大学と共同研究している新しい予測モデルも、同じタイミングで実用化する方針だ。

 現在のADMEWORKSも引き続き機能強化していく考えで、このほど5種類のCYP(1A2、2C9、2C19、2D6、3A4)による阻害予測モデルが追加された。どのCYPで阻害されるかの詳細がわかるため、ユーザーからも注目されているという。

 また、薬物相互作用予測シミュレーションソフト「DDI Simulator」は、7月に新バージョンがリリースされるが、肝臓OATPsを介した薬物相互作用を予測できるトランスポーター阻害モデルを世界で初めて搭載した。肝臓を5つのコンパートメントに分割し、薬物のクリアランスの大小に影響されにくい数理モデルを採用することで、内在性基質の濃度変動の予測も可能となっている。さらに、ライフインテリジェンスコンソーシアム(LINC)で開発している副作用予測AIも、将来的にDDI Simulatorに搭載する方向で検討しているという。

 一方、これまで富士通製品だった材料設計支援システム「SCIGRESS」が、今年度から同社にビジネス移管された。もともと、同社の子会社であるFQSポーランドで開発している製品であり、グローバルでの拡販体制を再構築していく。内外の学会への出展をはじめ、昨年度は実施していなかったユーザーフォーラムを再開し、無料体験ワークショップなども随時実施していく。


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