CCS特集2019年夏:パトコア

クラウドで化学物質管理、試薬発注から廃棄まで連携

 2019.06.21−パトコアは、システムインテグレーターであるマネージメントサービス(MSC)グループとして、創薬インフォマティクスと化学物質管理のためのソリューションを開発・提供。ハンガリーのケムアクソン社のソフトウエア技術を核に、構造式などの化学情報を利用するさまざまなシステム化へのニーズに応えている。クラウドにも積極的に取り組んでおり、今年はクラウドで化学物質管理を行うアプリケーションの製品化を計画している。

 同社は、世界中で利用されているケムアクソンのケミストリーエンジン「JChem」、ウェブベースの創薬情報プラットホーム「Plexus」といった製品で豊富な実績を築いてきている。それに加え、最新の法規制情報に基づく化学物質コンプライアンスチェックソフト「CRAISチェッカー」、法規制対応の試薬カタログデータベース「SMARTS」など、ユニークな独自製品を持っていることが強み。

 こうした要素を組み合わせて、昨年国内のリサーチパークからクラウドベースのシステム構築を受注し、近く本格稼働に入ることになっている。パーク内で利用される試薬の調達から廃棄までの一連の管理、放射性同位元素(RI)実験の適正管理、そして組み換え体や実験動物、臨床サンプルを扱う実験管理を容易にするソリューションだという。

 同社では、このシステムをベースに、SaaS(ソフトウエアとしてのサービス)型の研究業務支援クラウドアプリケーション「CLIMSON」を製品化する計画だ。とくに、コンプライアンスに対応するための法規制情報の更新や、試薬カタログの収集などのアップデート作業がクラウド側で行われているため、利用者は常に安心して試薬の検索・発注、法規制チェックを行うことが可能。SMARTSは国内12社以上の試薬メーカーを網羅しており、構造式で1,000万件以上、商品数で4,000万件以上の情報が登録されている。クラウド上で購買システムが連動するとともに、社内での試薬管理もクラウドで行うことができる。

 また、Plexusも昨年からSaaSで利用できるようになっており、海外ではAWS(アマゾンウェブサービス)で簡単に申し込みができるという。クラウド上に化合物登録やアッセイデータ登録を行い、手元のPCからデータを検索・参照したり、データ分析したりすることが容易。大学の研究室や創薬ベンチャーなどからの利用が多いという。


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