東工大の「TSUBAME 3.0」が仮想GPU利用VDIを装備

最大240人が仮想デスクトップ接続、遠隔からのスパコン活用に利便性

 2019.08.24−東京工業大学とエヌビディアは22日、スーパーコンピューター「TSUBAME 3.0」を拡張し、GPU(グラフィックプロセッサー)を利用したVDI(バーチャルデスクトップインフラストラクチャー)システムを導入したと発表した。NVIDIA仮想GPU技術が採用されたもので、一般的なPCやタブレットなどを端末として利用する場合でも、高性能ワークステーションからスパコンに接続しているような感覚で利用できる。

 東工大は、文部科学省の平成30年度卓越大学院プログラムとして「『物質×情報=複素人材』育成を通じた持続可能社会の創造」の教育・研究を実施している。今回のVDIシステムは、このための情報基盤の一環として整備された。

 とくに、スパコンを利用した科学技術計算では、数十テラバイトにも及ぶファイルを取り扱う場合があるため、画面イメージをネットワーク経由でクライアント側に転送するVDIシステムは、実際には利用しづらいのが現状だった。

 具体的に、今回導入したシステムは、AMD EPYCプロセッサー(32コア)を2基、NVIDIA V100 テンソルコアGPUを3基搭載したサーバー5台で構成されている。GPUの総数は15基で、仮想GPUソフトとしてNVIDIA GRID Quadro 仮想データセンターワークステーション(Quadro vDWS)が搭載され、VDIソフトとしてVMware Horizonが利用されている。最大で、同時に240ユーザーに仮想GPUによるVDI環境を提供できる。

 Quadro vDWSは、サーバーに搭載された V100 GPU を仮想化し、複数の仮想マシンにGPUの性能を与える。これにより、従来はVDI化が困難だったCAD、CAE、BIM、コンテンツ制作、医用画像といったグラフィックスアプリケーションや、シミュレーションやディープラーニングといったコンピューティングアプリケーションを、ローカルのQuadroワークステーションのように高い性能で動作させることができるという。

 今後、TSUBAME 3.0 ユーザーは、手元のPCスペックを意識せずに利用できるため、産業利用などの促進にも寄与すると期待される。

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<関連リンク>:

東京工業大学(TSUBAME 3.0を運用する学術国際情報センターのトップページ)
https://www.gsic.titech.ac.jp/

エヌビディア(仮想GPUの情報ページ)
https://blogs.nvidia.co.jp/2018/10/03/what-is-a-virtual-gpu/


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