2019年冬CCS特集:ドットマティクス

製薬から材料へ市場拡大、データ解析の新ツール提供へ

 2019.12.03−ドットマティクスは、製薬業および化学・材料企業向けのインフォマティクスソリューションを提供している。豊富な機能を実現するアプリケーション群がすべて単一のソースコード(ワンソース)で構成されており、各機能が緊密に連携できるという特徴がある。バージョンアップの負荷も小さく、完全ウェブベースであるため、クラウドでもオンプレミスでも自由に運用することが可能。

 同社のソリューションは、データ連携・照会・レポーティングのためのプラットフォームとなる「BROWSER」、高度なデータ解析・可視化を行う「VORTEX」を中心に、電子実験ノートや化合物・生物情報登録、試薬・サンプル管理、アッセイデータ管理など、多彩な機能が揃っている。

 もともとは製薬業向けのシステムだったが、“情報”を中心とする研究支援プラットフォームであるという考え方が、近年のマテリアルズ・インフォマティクス(MI)をはじめとする化学・材料系企業の関心を集めている。代表的なユーザーはクラリアントで、2017年にドットマティクス製品を全面導入することを決め、10カ国以上に展開する26の研究拠点、約1,000人の研究者に対して、電子実験ノートの利用環境を整える。実験の計画立案から評価・文書化までを統合し、実験データを集め、それを共有・有効利用できるようにすることが目的で、ラボ機器との接続によるスマートラボ化、機械学習による知識集約なども図っていく。現在、ドイツ内の5研究所に先行導入しており、来年末にはグローバル展開が完了、その後もドットマティクスと共同で機能を追加していくことにしている。クラリアント以外にも、化学・材料系ではBASF(300ユーザー)、P&G(200ユーザー)、フィルメニッヒ(550ユーザー)などの実績がある。

 実際にはワンソースであるため、製薬向けも化学・材料向けもプログラム自体は共通。例えば、ポリマーを扱う機能は、製薬で抗体やペプチドを扱う機能がベースになっている。逆に、今年末の最新バージョンで実装される化学・材料向けのフォーミュレーション(配合)機能は、製薬向けでは製剤分野などに利用できる機能となっている。モバイル端末への対応もニーズが多く、研究室に端末を持ち込み、複雑な手順を確認しながら実験を行うなどのサポート機能も実現している。

 また、プロ向けの高機能なデータ解析を行う「VORTEX」に対し、有機化学者のための使いやすい解析ツール「CLARITY」を来年リリースする予定。「BROWSER」で検索・絞り込んだデータをシームレスに解析することが可能で、ディスクリプター計算やRグループ解析、MMP解析、バーチャルライブラリー作成などを簡単に行うことができる。

 化学・材料市場も立ち上がってきたため、同社日本法人としてはスタッフ増員を図る計画。今年、オフィスを移転拡張しており、営業1人、技術3人ほどを採用したいということだ。


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