モルシスが「MOE」で抗体医薬品設計分野に力

創薬モダリティ対応で機能拡充、セミナー開催し機能紹介

 2020.3.20−モルシスは、統合計算化学システム「MOE」で抗体医薬分子設計分野への応用展開を強める。MOE自体は低分子から高分子までどんな創薬研究にも対応できる汎用性を備えているが、最近とくにペプチド、抗体、核酸などの創薬モダリティに対応できる機能が充実してきており、ユーザーからの関心も高まっている。同社は、MOEによる抗体設計にフォーカスしたセミナーなども開催し、機能性をアピールしていく。

 MOEは、加ケミカルコンピューティンググループ(CCG)製で20年以上の実績があり、分子シミュレーション、ケムインフォマティクス、タンパク質モデリング、ストラクチャーベースドラッグデザイン、ファーマコフォア解析など、幅広い機能を備えたシステム。独自の開発言語“SVL”を採用しており、ユーザー自身でさまざまな機能拡張が可能。フリーに利用できるSVLプログラム集も充実している。

 抗体医薬設計の機能としては、特有の立体構造やループ、リンカーなどの「モデリング」を行い、機能に関係する露出表面や表面特性などを「可視化」し、物性や熱安定性、親和性などを計算して「予測」、その結果をもとに変異を導入するなどの「デザイン」を加えて、再度「モデリング」するという一連のサイクルをカバーできるように、それぞれのアプリケーションが統合されている。さまざまな抗体をモデリングし、抗原との相互作用を解析することが可能であり、物性や化学的修飾部位を予測することで、より質の高い抗体開発を支援することが可能。抗体だけでなく、さまざまな分子との混合系のモデリングとシミュレーションに対応していることも強みだという。

 具体的な機能としては、MOEに内蔵された抗体配列・構造データベース(PDBから抽出、インハウスデータの登録も可能)を利用。クエリー配列から領域(CDR、FR)を自動認識し、データベースから領域ごとに推奨されるテンプレートを検索、モデリングタイプを選択して、ホモロジーモデリングを自動的に実行できる。また、ループ構造のモデリングは、PDBの主鎖構造を割り付ける知識ベースと、Cアルファ座標を予測し主鎖を構築するデノボベースの2種類に対応。フレキシブルな残基で構成されていてX線で構造決定しにくいリンカー構造のモデリングも効率良く行うことができる。

 タンパク質間相互作用(PPI)解析では、疎水性/電荷表面パッチ解析からエピトープマッピング、タンパク質−タンパク質ドッキング、抗体−抗原親和性予測、相互作用界面の形状的・静電的な解析までが行える。

 さらに、設計した抗体の開発可能性を評価するため、さまざまな物性推算が可能。基本的な物性のほか、記述子を使って溶解度や凝集性、粘性、HIC、抗体−抗原親和性などを予測できるほか、化学的修飾を受けやすい部位を検出したり、Liabilityを予測したりすることも簡単な操作で実行できる。

 セミナーでは、これらの機能を詳しく解説するとともに、実際の問題に対応させた活用例も紹介している。

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<関連リンク>:

モルシス(トップページ)
https://www.molsis.co.jp/

モルシス(MOE製品情報ページ)
https://www.molsis.co.jp/lifescience/moe/

モルシス(MOEセミナー案内ページ)
https://www.molsis.co.jp/seminar/


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