2020年夏CCS特集:ドットマティクス

生物ノート機能で差別化、実験室データ取得自動化も

 2020.07.15−ドットマティクスは、製薬業および化学・材料企業向けのインフォマティクスソリューションで躍進しており、世界で400社以上の導入実績を築いている。日本法人のスタッフも増員しプロジェクト遂行に当たっているが、人手の足りない状態が今年も続いているという。国内の実績は製薬企業が中心だが、欧米の動きに呼応して、昨年から化学・材料系へのアプローチを開始しており、今年も11月に化学分野に特化したイベント開催を計画している。

 同社のソリューションは、研究のための生物・化合物情報を統合的に取り扱うプラットフォームで、登録・照会、解析・可視化、電子実験ノート、ワークフローなどの多くのアプリケーションが連携するように設計されている。すべてが単一のソースコード(ワンソース)で構成されており、例えば大手製薬ユーザーの要望で開発された先進的な機能が組み込まれると、全ユーザーがその恩恵にあずかるかたちになる。このようにして鍛えられた結果、機能面もますます充実してきている。

 とくに、合成実験を支えるケミカルノート機能を基本に、生物系のバイオロジーノートの機能で差別化されるケースが多い。抗体、タンパク質、核酸、RNAなどの生物データを登録・管理する「Bioregister」のHELM対応、次世代シーケンサー(NGS)データの取り扱いを可能にするデータ解析ツール「Vortex」の機能拡張などが実施された。また、電子ノートにゲノムデータを取り込み、配列解析なども自在に行えるようになっている。

 とくに、6月末に米バイオブライトを買収。実験室からのデータ取得を自動化するソリューションと組み合わせることにより、データを収集し活用するためのワークフローが高度に自動化され、人工知能(AI)や機械学習の適用を前提としたプラットフォームの整備も推進することができる。

 同社では現在、日本の製薬企業を対象に、グローバルユーザーが数千人規模の大型プロジェクトを進行中。用途別に複数ベンダーの電子ノートを利用していたが、ドットマティクスに統一する計画だ。今回の電子ノートだけでなく、登録・参照系もドットマティクスで揃える予定だという。

 このようなグローバルな案件では、各地域のチームが連携して手厚くサポートするが、日本法人としてもスタッフを増員しサポート体制を強化しているほか、日本語ホームページも情報を充実させている。過去のセミナー動画なども日本語字幕を入れたものが増えており、わかりやすい。また、同社では今年4月に韓国に子会社を設立した。日本を含むアジア太平洋地域はとくに成長率が高く、同社の活動はますます活発化しそうだ。


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