東工大・林准教授らがAI利用しバイオマテリアル設計

機械学習で生体分子の吸着を予測、材料開発の新手法に道

 2020.08.27−東京工業大学物質理工学院材料系の林智広准教授らのグループは26日、人工知能(AI)を利用してバイオマテリアル(生体適合材料)を設計する新たな手法を確立したと発表した。この分野は、材料の物性や生体分子との相互作用をシミュレーションすることが難しいとされているが、今回は独自のデータベースの構築と機械学習によって課題を解決したもの。今回は有機薄膜を対象としたが、数年以内に三大バイオマテリアル(高分子、セラミックス、金属)へも応用範囲を広げていく。

 触媒や電池などの固体材料の分野では、計算科学とデータベースを両輪とし、インフォマティクスによる材料設計が進展している。一方、タンパク質・細胞の吸着・接着など、バイオマテリアルの主要な機能は計算科学で定量的な予測をすることができず、実際に材料をつくり、その特性を調べ、次の材料設計に生かすという試行錯誤的なアプローチに頼らざるをえないのが現状だった。

 そこで、林准教授らは生体材料と生体分子・細胞との相互作用を系統的に調べるためのプラットフォームづくりに着手。とくに、材料表面上で化学組成が位置によって連続的に変化する傾斜表面など、材料の化学組成と生体分子・細胞の応答に関するビッグデータを整備してきた。同時に、過去の文献データからの情報抽出も行い、これらのデータを融合させて、インフォマティクス的手法による材料設計を志向してきたという。

 今回の研究では、モデル有機材料として広く用いられている自己組織化単分子膜(SAM)の材料特性である“水の接触角”(SAMへのタンパク質吸着量に関係)を取り上げた。文献データから独自のデータベースを構築し、ニューラルネットワークモデルを用いて機械学習を実施。材料の化学構造から水への濡れ性やタンパク質の吸着量を正確に予測するモデルを開発した。未知材料の特性の予測にも成功しており、スクリーニングに有効なことを確認したとしている。

 なお、今回の研究発表は、「ACS Biomaterials Science & Engineering」誌に、「Data-driven prediction of protein adsorption on self-assembled monolayers toward material screening and design」のタイトルで8月17日に掲載された。

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<関連リンク>:

東京工業大学(林研究室のホームページ)
http://lab.spm.jp/


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