2020年冬CCS特集:富士通

デジタルラボ構想を推進、富士通九州の製品群を統合化

 2020.12.02−富士通は、創薬研究ならびに材料開発を支援するCCS関連事業を、7月に発足させたデジタルラボ事業部に集約。12月からは、関連事業を展開していた富士通九州システムズの製品・スタッフも統合し、事業体制を刷新した。「デジタルラボラトリープラットフォーム」(DLP)の名称で研究開発プロセス全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援していく。

 DLPは、「デザイン」(設計)、「ビルド」(合成)、「テスト」(分析・評価)、「ラーン」(解析・学習)のサイクルを回しながら、オンライン時代に対応したデータ駆動型の研究環境を提供する。この全体構想を実現するソリューションマップに、富士通九州システムズが開発してきた製品群が加わることになる。

 とくに注目されているのが、日本医療研究開発機構(AMED)の創薬支援推進事業「創薬支援インフォマティクスシステム構築」での共同研究成果を製品化したAI創薬基盤ソフト「SCIQUICK」で、来年1月から販売開始する。化学構造式から薬物動態や毒性を予測する「ADMEWORKS」の後継製品の位置づけになるが、医薬基盤・健康・栄養研究所、理化学研究所、明治薬科大学の協力で開発された最新の予測モデルを搭載。さらに、国内の製薬企業7社が提供したデータをもとにした予測モデルが利用できる。

 脳ホモジネート結合や胆汁うっ滞性肝毒性など他社システムにはみられないモデルが組み込まれているほか、hERG阻害などについても企業データの追加により、予測可能な化合物の適合範囲が大きく広がっているという。モデル構築機能も備えているため、自社のデータを加えて学習をし直すことも可能である。社内システムに組み込むためのインターフェースも用意している。

 一方、計算化学統合プラットフォーム「SCIGRESS」は、11月にバージョン3.1がリリースされている。第一原理計算プログラムQuantumESPRESSOとの連携機能がさらに充実しており、バンド計算機能を強化したほか、バンド計算とDOS(状態密度)計算をまとめて行うプロシージャーが追加されている。また、座標表示の3軸平行移動、アニメーション作成機能、画像表示の高速化など、基本的な機能も高まっている。

 そのほか、薬物動態データを網羅的に集めた「ADMEデータベース」は、オンラインでの公開が終了し、コンテンツ販売形式に切り替わった。すでに、海外を含め数社から受注。引き合いは活発だという。人手でキュレーションしたデータの品質が高いため、機械学習などに利用したいというニーズがあるようだ。

 なお、富士通九州システムズは、ビジネスパートナーとしてモルシスと提携していたが、富士通のデジタルラボ事業部への統合後もその関係に変化はないという。


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