2021年夏CCS特集:ダッソー・システムズ

バーチャルとリアル融合、ラボの全体を統合基盤で管理

 2021.6.29−ダッソー・システムズは、BIOVIAブランドで材料研究や新薬開発のための統合ソリューションを開発・提供している。とくに、バーチャルとリアルを融合させ、同社の3D EXPERIENCEプラットフォーム上で共通のデータモデルを利用することにより、研究開発の幅広いステージで必要な情報を共有しやすい仕組みを実現している。ラボの電子化・自動化にもつながることで関心が高い。

 現在、ラボ内の研究データ・実験データを集め、機械学習などを通してマテリアルズ・インフォマティクス(MI)に取り組む動きが目立っている。同社は電子実験ノートを起点にMIを実現する戦略で、一連のオンラインセミナーシリーズを展開中。5月末に開催した初回(オンデマンド配信中)に続き、「データ基盤の構築」(7月28日)、「構造化した実験データを使った最適配合の計算」(8月25日)、「希望する特性に基づいた新材料のスクリーニング」(10月27日)、「新素材の開発を支援するためのワークフローの構築」(11月24日)まで全5回のプログラムを準備している。データ駆動型のアプローチへの転換を促す方法や考え方、具体的なソリューションの適用を示していく。

 ラボ全体の管理は「ユニファイドラボマネジメント」として、標準手順書の作成・管理、分析機器の構成管理、実験に使用する各種サンプル管理、試験依頼やタスク管理、実験データの取り込み、実験記録の入力まで一貫して行うことができるようになっている。これも電子ノートが核になるが、各機能は3D EXPERIENCEプラットフォーム上でコンパクトに連携して働くように設計されており、柔軟性・拡張性に優れている。クラウド対応を考慮し、セキュリティを重視した開発を進めてきているという。

 一方、実験だけでは取得できないデータをシミュレーションで補完する戦略も重要だ。主力製品の「BIOVIA Materials Studio」は着々と機能強化されてきており、最近ではメソスケールでの材料組織の形成を予測するフェーズフィールド法が組み込まれた。同社のSIMULIAブランドで提供しているマクロ構造解析ソリューションへとつながっていく機能で、燃料電池や半導体関連の材料研究で注目されている。

 また、買収したコスモロジック製品も、量子力学と熱力学を独自の手法で組み合わせたシミュレーションが可能で、液相の化合物の各種特性を計算できる。大量計算に適したワークフローも用意されており、データサイエンスとの組み合わせでも注目度が高いという。


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