2021年冬CCS特集:コンフレックス

最新版への引き合い好調、論文の引用増で海外展開も

 2021.12.01−コンフレックスの自社開発製品「CONFLEX」は、化合物の配座探索・結晶構造探索を行う国産ソフトとして20年以上の歴史があるが、近年は海外でも実績が伸びている。これは、論文への引用が増えていることも関係しており、昨年CONFLEXが引用された論文数は2010年の4倍、2015年の2倍強に増加したという。

 CONFLEXは今年5月に最新のバージョン9がリリースされたばかり。発売後に紹介セミナーをオンラインで実施したところ、すぐに満席となり、追加の開催を行うなど関心が高かったという。とくに、完全対角Newton-Raphson法の採用で結晶探索にかかる時間が大幅に削減されたほか、Ewald法によって遠距離まで働く静電相互作用を高速・高精度に計算できるようになったなどの特徴がある。

 また、文部科学省の新学術領域研究「ソフトクリスタル」に関連したプロジェクトにおいてCONFLEXが使用されており、論文も出ているため、この関係からも利用者が広がっていると考えられる。昨年はコロナ禍で海外からの引き合いは減少したが、今年になると回復傾向が鮮明で、実績のある中国をはじめ、メキシコなど新しい国や地域からの問い合わせもみられるということだ。

 CONFLEXによって正確な構造を決定することができるため、外部の理論化学計算プログラムと組み合わせた使い方も有効。このため、同社では代表的なプログラムである非経験的分子軌道法ソフト「Gaussian」(米ガウシアン)、分子動力学ソフト「Amber」(米カリフォルニア大学)、化学者向け統合ソフト「ChemOffice/ChemDraw」(米パーキンエルマー)の代理店販売も行っている。昨年からは要望に応じてオンライン講習会も実施しており、参加しやすいとして好評を得ている。最近は、ブラウザー上でプログラムを対話的に実行できるフリーソフト「Jupyterノートブック」が普及してきているため、この上でCONFLEXやAmberを利用する実演を行うことも増えているという。

 一方、英ケンブリッジ結晶学データセンター(CCDC)が主催する結晶学コンテストに参加中。この第1課題は、2次元分子構造をもとに、結晶化した際の構造を予測するというもので、すでに回答を応募。締め切りが来年の第2課題(エネルギー準位の予測)にも取り組んでいく。CONFLEXの性能を実証する場になると期待される。


ニュースファイルのトップに戻る