CCS特集2022年冬:コンフレックス

独自製品の海外展開強化、M1/M2対応で高速処理

 2022.12.01−コンフレックスは、自社開発の配座探索・結晶構造探索ソフト「CONFLEX」、米ガウシアンの分子軌道法ソフト「Gaussian」、米カリフォルニア大学の分子動力学ソフト「Amber」、米パーキンエルマーの化学者向け統合ソフト「ChemDraw/ChemOffice」など代表的なソフトを取り揃え、計算化学の利用を広くサポートしている。国産ソフトベンダーとして海外市場での製品の普及にも取り組んでおり、ポストコロナであらためて海外展開を積極化させていく。

 同社は、今年の夏にシカゴで開かれた米国化学会(ACS)に3年ぶりにCONFLEXを出展した。来場者数や展示規模はコロナ以前ほどではなかったが、ブースに立ち寄る人は過去最高に多く、大きな手応えを感じたという。実際の販売成果にもつながったとのことだ。欧米に対してはダウンロード販売のスタイルだが、同社は中国に2社、インドに2社、韓国に1社の代理店を設けており、導入実績も伸ばしている。とくに中国からの問い合わせが急増しており、来年に向けてCONFLEXの海外向け販売をさらに拡大させる方針だ。

 国内でもコロナでの制限を緩和する方向にあるため、秋からは対面での講習会活動を再開した。ユーザーからの反響も良く、すぐに席が埋まって、追加での開催を設定するほどだったという。コロナ以前に行っていた計算科学振興財団(FOCUS)の協力による神戸での講習会も、再開を検討したいとしている。

 製品面では、Gaussianがアップルの自社開発チップ「M1」および第2世代の「M2」に対応したプログラムをリリースしている。コンフレックスの社内で評価したところ、ノート型や小型筐体にもかかわらず、驚異的な速度向上がみられたという。発熱がほとんどなく、どこでも計算が実行できる。CONFLEXでも次のリビジョンアップでM1/M2に対応させる計画である。

 一方、同社には文部科学省から指定された研究機関としての顔もあり、新学術研究領域「ソフトクリスタル」の研究プロジェクトに参加してきた。このプロジェクトはすでに終了しているが、研究活動自体は継続しており、人工知能(AI)で計算精度を向上させるなどの開発を進行中。また、科学研究費助成制度(科研費)を利用した「有機金属錯体の結晶構造と動的挙動を解析するための汎用力場の開発」も進行させている。


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