CCS特集2022年冬:三井情報

メタボローム解析新製品、脂質・代謝物など一斉識別

 2022.12.01−三井情報は、先進的な情報技術をバイオサイエンスに応用することに半世紀近くにわたって取り組んでおり、ここ数年は毎年新製品を市場投入するなど、開発と事業化を一段と加速させている。産学官による共同プロジェクトの実施などを通して開発テーマを選定しており、今後の展開も注目される。

 製品で最も実績豊富なのが、質量分析データから生体内脂質を自動的に同定する「Lipid Search」。サーモフィッシャーサイエンティフィック経由でグローバルにも販売されており、世界30カ国以上で利用されている。そして、今年10月には脂質を含むメタボローム解析プラットフォーム「MetaboAlign」を新発売した。

 代謝物の総体を扱うメタボローム解析では、生体内に存在する脂質や、糖・有機酸・アミノ酸などの化合物の大規模な変動解析が必要。ただ、多検体間の比較は熟練した研究者に頼るしかないほか、質量分析計によってデータ形式が異なるため、多検体データを一斉に解析することは困難だった。これを解決するのが新製品のMetaboAlignで、質量分析器のメーカーを問わず、100検体以上の大規模一斉定量解析に対応。それぞれの保持時間のズレによるミスアライメントも一括で自動補正してくれる。また、標的分子を定量分析するSRMデータだけでなく、PRM、DDA、DIA、フルスキャンデータについてもターゲットピークを探索し、SRMライクな定量解析を行うことができる。

 さらに、Lipid Searchと組み合わせることでノンターゲット分析との連携が可能。共溶出する脂質異性体成分を識別し、クロマトのターゲットピークに対して正確な成分帰属を行うことができる。すでに、海外でLipid Searchが普及していることを生かし、MetaboAlignも海外での販売を検討しているという。発売直後だが国内でも引き合いは好調。初年度ライセンスの特別料金も用意しており、まずは使って良さを実感してほしいとしている。


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