CCS特集2022年冬:ウェイブファンクション

学会などリアル展示に力、化学シフト計算機能を強化

 2022.12.01−ウェイブファンクションは、研究用途から教育目的まで、分子軌道計算を主体としたモデリングソフト「Spartan '20」を販売している。コロナ禍でこの間はユーザーとの直接の接触を持てなかったが、今年9月に静岡で開催された天然有機化合物討論会に久々に出展。コロナ中にソフトを購入したユーザーと初めて交流する機会になるなど、コミュニケーションが大幅に改善された印象を抱いたという。来年に向けては、日本薬学会や日本化学会など大型学会の年会への出展でリアルのプロモーションに力を入れていく。

 これは、来年春の米国化学会(ACS)で次期バージョンが発表される予定でもあるため。開催時期が国内の学会とほぼ同じではあるが、間に合えば最新版の機能を直接披露し、バージョンアップあるいは新規購入を促す考えだ。ただ、為替の円安傾向が長期化していることで、最新版からは価格改定を行う方針だという。それで、早めに現バージョンの保守契約に入ることを推奨したいとしている。次期最新版がリリースされた際に無償バージョンアップすることが可能であり、トータルでは費用的に有利になる。

 次期最新版の詳しい機能はまだ未公表だが、現在のSpartan '20に搭載されて評価の高い「DFT(密度汎関数法)を利用した化学シフト計算」機能の強化が目玉になりそう。これは、弘前大学の橋本勝教授らとの共同研究に基づいて、計算レシピとして前バージョンのSpartan '18から組み込まれたもので、天然物などの柔軟なコンフォメーションを持つ分子に対応し、一般の化学者が適切な手法を組み合わせて正確な計算ができるように考慮されている。橋本教授らとの共同研究は継続中で、順次機能強化されてきているが、次期バージョンではニューラルネットワークを用いて計算を劇的に高速化する手法が新たに搭載されるもよう。

 同社の日本支店では、コロナ期間中にSpartanの機能を一通り紹介するワークショップの動画作成に力を入れた。日本語で視聴できるため、ソフト購入を検討する際の確認用にも便利だ。


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