CCS特集2023年夏:コンフレックス

配座探索ソフトの最新版、学会参加や講習会活動を再開

 2023.06.28−コンフレックスは、ポストコロナで社会活動が回復した機をとらえ、昨年から徐々に学会・展示会への出展、計算化学講習会の開催などを再開させているが、今年はそれをさらに活発化させる。すでに、日本化学会、日本薬学会のほか、高分子学会、理論化学討論会、日本コンピュータ化学会に出展したほか、8月のアメリカ化学会(ACS、サンフランシスコ)、国際結晶学会(IUCr、メルボルン)への参加も予定。IUCrでは研究発表も行う。露出を増やし、事業活動にも弾みをつける。

 同社は、自社開発の配座探索・結晶構造探索ソフト「CONFLEX」、米ガウシアンの分子軌道法ソフト「Gaussian」、米カリフォルニア大学の分子動力学法ソフト「Amber」、米レビティ(旧パーキンエルマー)の「ChemDraw/ChemOffice」と計算化学分野の代表的なソフトを幅広く提供している。とくに、CONFLEXの販売はグローバルに行っているが、アジア圏には中国に2社、インドに2社、韓国に1社の代理店を設けている。近年では中国での実績が伸びているという。

 さて、主力のCONFLEXは今月中にも機能強化し、CONFLEX9リビジョンCをリリースする予定。結合次数の自動補正、結晶構造計算の強化(非対称単位中に2分子以上含む場合の分子間への擬ポテンシャルの設定)、構造最適化時の部分構造固定でGaussian呼び出し機能に対応−などが行われた。ユーザーインターフェースは最新のGPUに対応した分子表示の高速化・高精細化が図られている。アップルのM1/M2チップに対応したことで、処理速度の大幅な高速化も達成している。

 また、分子動力学法ソフトのAmberとAmberToolsは今年4月からアカデミックユースが無償となった。無償化でユーザーが増えることが期待され、同社では入門編・応用編の講習会開催、サポート契約の提供などで引き続き事業化を図っていく。4月末には最新のAmberTools23がリリースされており、ハートリーフォックおよび密度汎関数法電子構造計算のためのプログラム「Quick」、自由エネルギー計算を解析するパッケージ「fe-toolkit」が新たに追加されたほか、力場パラメーターのアップデート(OL21、GAFF2、PTM)も行われた。解析のメインプログラムである「cpptraj」にも新機能追加とバグ修正が施されている。

 なお、同社は文部科学省から指定された研究機関としての顔もあり、2021年度で完了した新学術研究領域「ソフトクリスタル」に参加してきた。その研究成果をまとめた英文書籍「Soft Crystals」が4月に出版された。その中の「Molecular Crystal Calculation Prospects for Structual Phase Transition」の項目が同社が担当した部分に当たるという。


ニュースファイルのトップに戻る