CCS特集2023年夏:分子機能研究所

創薬受託研究が好調推移、創立20周年でキャンペーンも

 2023.06.28−分子機能研究所は、計算化学を中心にした独自の構造ベース創薬(SBDD)技術をベースに、受託研究やソフトウエア販売を行うベンダーで、今年7月で創立20周年を迎える。とくに、「MFDDインシリコ創薬受託研究サービス」が好調で、ここ数年で研究成果を含む論文が8報(投稿中を含む)出されるなど、着実に実績を積み重ねている。

 同社は、米ハイパーキューブの統合分子モデリングソフト「HyperChem」をベースに、複雑な生体高分子系のモデリングやタンパク質などの全系量子化学計算を実行できる「Homology Modeling for HyperChem」(HMHC)、生体高分子とリガンドとのドッキングシミュレーションやバーチャルスクリーニングを高精度に実施する「Docking Study with HyperChem」(DSHC)を製品化。量子化学計算プログラムのGaussianのほか、各種のOSS(オープンソースソフトウエア)を駆使して高度な研究を行っている。

 なかには、同社が研究代表となって、文部科学省の「共同利用・共同研究拠点」制度に基づく「生体医歯工学共同研究拠点共同研究プロジェクト」に採択された案件もあり、2023年度も前年度に続き、東京医科歯科大学、お茶の水女子大学、横浜国立大学との共同での「構造ベース創薬によるRARγサブタイプ選択的アンタゴニストの開発研究」を進行中。計算の立場からいくつかの候補物質がみつかっており、今年度はウェット実験での評価を進めたいとしている。

 受託研究の事例では、ペプチドや核酸、あるいは低分子薬など対象がさまざまであり、研究内容に合わせてプログラムを書き換えることも多い。内部で開発ができる強みを生かしている。同社が担当した受託研究成果を含む論文がこれまでに8報出されており、その論文で博士号を取得した企業や大学の研究者もいるという。研究人材の育成でも一端を担っているといえるだろう。5月下旬に開催された日本歯周病学会学術大会でも、そうした研究成果の1つが発表されたという。

 なお、同社では創立20周年を記念して、3月から創薬受託研究サービスの基本料金無料キャンペーンを実施中。期間は9月末までで、期間内で同じ標的を対象としたものであれば、複数回サービスを受けても基本料金は無料となる。


ニュースファイルのトップに戻る