CCS特集2023年冬:レビティ

データ駆動型研究を支援、ラボ内機器との自動連結も

 2023.12.05−レビティは、パーキンエルマーブランドのライフサイエンス・診断部門が生まれ変わった企業で、電子実験ノートなどのインフォマティクス事業も、「シグナルズソフトウェア事業部」としてこちらに継承されている。医薬品の研究開発を支援するソリューションとして大きな実績を持つが、新生レビティの体制下で新しい市場への展開も志向。とくにアジア太平洋地域において、日本では化学・材料開発、中国では病院・臨床研究向けなどで事業拡大を図っていく。

 新しい社名およびブランド名である「REVVITY」には、「変革を起こす(revolutionize)」の「rev」と、ラテン語で「生命・人生」を意味する「vita(vit)」という2つの想いが込められている。レビティ全体では1万1,000人以上の従業員がおり、売り上げ規模は約27億ドル。地域別の比率はアメリカが45%、欧州・中東・アフリカが25%、アジア太平洋が30%となっている。ライフサイエンス関係が全体の52%を占める約13億ドルで、シグナルズソフトウェア部門はそのうちの15%という構成である。こちらの従業員数は約800名。

 同社のソリューションは、「ChemDraw」や「Spotfire」といった標準ツールを統合した業界唯一のプラットフォーム。とくに、クラウドサービスの「Signals Research Suite」は、電子ノートの「Signals Notebook」、データレイク機能を備えた次世代意思決定統合プラットフォーム「Signals Inventa」、実験装置から出力されるデータの入力から分析・解析までのワークフローを実現する「Signals VitroVivo」を含んでおり、ワンプラットフォームで医薬品開発のDMTA(設計・合成・評価・分析)サイクルを強力にサポートすることができる。

 電子ノートには、ワークシート機能やフォーミュレーション機能などが順次追加されており、適用範囲は医薬探索研究だけでなく、CMC(化学・製造・品質管理)分野、機能化学品・機能材料開発分野へと拡大。ユーザーからの要望を集める「アイデアポータル」の意見を反映させてハイペースで開発を続けている。「Signals Inventa」や「Spotfire」を組み合わせればデータ駆動型の研究にもすぐに取り組むことができる。最近、国内では農薬関係からの引き合いが増加し、食品、香料、化粧品などでも実績が広がっているという。

 また、「Spotfire」は低分子化合物を扱う化学者向けのイメージがあったが、「Lead Discovery Premium」では新しい創薬モダリティへの対応、バイオインフォマティクス関連の機能強化など、生物系での利用も増えている。科学者用のビジネスインテリジェンスソフトとして、一般のツールにはない高度な機能を備えている。

 一方、今後注目を集めそうなのが、米Scitara(サイタラ)とのコラボレーションだろう。サイタラのiPaaS(サービスとしてのインテグレーションプラットフォーム)はラボ内の各種機器とのコネクターを備え、「Signals Notebook」と連結するハブとしての役割を果たす。メタデータを含めた生データをモニタリングし、データ収集を自動化し、電子ノートに登録することが可能。データインテグリティの強化、データ利活用の推進にも役立つ。レビティとサイタラは戦略的パートナーシップ契約を結んでおり、日本ではレビティジャパンが導入から運用サポートまでを一貫して担当する体制となっている。ラボ内の機器を1つ1つ個別につなげるなどの手間がいらないことが大きなメリットだろう。


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