米シミュレーションズプラスがGastroPlus最新版7.0をリリースへ

点眼・肺吸入など新経路での予測に対応、大手製薬業との共同開発進展

 2010.06.16−米シミュレーションズプラスは、薬物動態解析・製剤設計支援ソフト「GastroPlus」の最新バージョン7.0を近くリリースする。経口投与薬剤の消化管での吸収を予測するのが主な機能だが、今回の最新版では追加の投薬経路として“目・肺・皮膚”に対応する機能を実現した。また、薬物同士の競合的抑制(阻害)を予測する機能も盛り込まれた。国内では、代理店のノーザンサイエンスコンサルティングを通して販売される。すでに国内の製薬企業からも高い関心が寄せられているという。

 GastroPlusは、ADME(吸収・分布・代謝・排出)予測ソフトのパイオニアとして国内にも多くのユーザーを持つ。とくに、生理学的薬物動態モデル(PBPK)の評価が高く、その予測精度はトップレベル。数年前の国際薬物動態学会におけるファイザー社の発表で、5社のベンダー製品と社内プログラムのコンペティションを行った結果、GastroPlusが静脈注射と経口投与の両方でトップとなったデータが公開された。そしてその後、ファイザーがGastroPlusを全面採用したというエピソードもある。

 用途としては新薬開発に使われることが多いが、最近ではジェネリック企業も関心を寄せているという。ジェネリック製品も構造が複雑な化合物が増えて吸収が悪い場合があるため、あらかじめGastroPlusで予測・解析して製剤設計を効率化したいというニーズが高まっているためだ。日本でも、ジェネリック分野での普及が今後期待できそうだとしている。

 さて、今回の新機能である点眼薬の吸収予測は、ファイザーのデータを利用して共同開発したもの。緑内障の治療薬の開発などで注目されているようだ。また、肺から吸収する薬剤としては、肺気腫、嚢胞性線維症、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの治療薬があるが、さらに新しい投薬経路としての可能性や環境毒性などの関連でも研究が活発化している分野だといわれる。こちらはグラクソ・スミスクラインとの共同開発となっている。このほかに、年末には経皮吸収に対応した新モジュールを用意する計画である。

 一方、最新版7.0のもう1つのポイントである薬物相互作用予測機能は、ロシュのデータを用いた共同開発によって製品化された。とくに、医薬分子が作用部位に結合することを他の薬物が阻害してしまう“競合的抑制”に焦点を当てて開発したもので、「1年半もかかったが良いものができた。競合製品を上回る機能を実現できたと思う。これには日本企業も大きな関心を示してくれている」(ウォルター・ウォルトスCEO)としている。


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